一連のSTAP細胞論文問題をめぐり2014年12月に理化学研究所を退職した小保方晴子氏が、同年4月の記者会見後初めて、約2年ぶりに公の場に姿を現した。今月24日発売の「婦人公論」(中央公論新社)に、小保方氏と作家の瀬戸内寂聴氏の7頁にわたる対談が掲載されている。
寂聴氏は同誌(4月26日号)で小保方氏の文才を讃え、「『あなたは必ず甦ります』わたしのように」とエールを送り、再起を呼びかけた。
今回の対談はそのエールに応えたもの。小保方氏は寂聴氏が開いている寺院・寂庵を訪れ、「先生にお会いするために、私食べなくちゃいけないと思うようになって。私、眠らなきゃいけない、私生きないといけないわ、と思ったのです」と生きる希望を見いだしたと語り、感謝の言葉を述べた。
久々にメディアに現れた小保方氏は、14年4月の会見時よりは痩せてスリムな印象。笑顔を交えながらもどこかぎこちない堅い表情を見せ別人のようで、この2年間で受けたストレスの大きさを偲ばせた。読者に自身の「潔白」を訴えるかのような白いワンピース姿の小保方氏は、寂聴氏に研究界からのイジメの恐怖をこう表現した。
「“男の嫉妬”なんて言ったら大バッシングを受けそうですが、ものすごく暴力的で本当に殺されるかと思いました」
嫉妬を受けるほどの業績が、小保方氏の実験成果にはあったということだろう。
メディアの罪
14年4月9日にSTAP細胞論文の疑義について小保方氏が釈明するために記者会見に出席して以降、メディアは一貫して同氏を芸能人扱いした。論文発表当初は「リケジョの星」と褒めそやしておいて、論文に疑義が見つかるや犯罪者のように叩き、根拠のないスキャンダルで執拗に追い回した。
今までマスコミが有名人に対してとってきた「持ち上げて、落とす」という手法を、研究者にまで当てはめたのだ。これまでメディアによって流布された根拠のない小保方氏のスキャンダルは、筆者の取材によれば、そのすべては理研内部からリークされていた。報道関係者はそれを裏取りすることなく、一斉に小保方氏を攻撃した。当時のマスコミは小保方氏に向けられた「男の嫉妬の手先」となっていたのだ。
今回、「婦人公論」に登場した小保方氏へのメディアの評価は「被害者という立場」を装う「したたか」な人間だと「加害者」としての扱いが目立つ。