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高橋志津奈「3face-style ~3つの顔がある暮らし~」

家で子ども世話しつつ会議連続、夜中に仕事…働くママ&主婦たちの悲痛な叫び:コロナ自粛

文=高橋志津奈/ファッションエディター
家で子ども世話しつつ会議連続、夜中に仕事…働くママ&主婦たちの悲痛な叫び:コロナ自粛の画像1
「Getty Images」より

 2月にニュースで頻繁に新型コロナウイルスの話題が出るようになった頃、どれくらいの人が今の日本や世界の現状を想像したでしょうか? どこか他人事、世界の遠くで起きている出来事のように捉えていた人がほとんどだと思います。

 突然全国の小中高校の休校が発表され、ママたちの衝撃といったら――。きっと男性陣には想像もつかない衝撃だったと思います。それは働くママだけではなく専業主婦も同じ。私もその衝撃を受けた一人です。電車で通う子供がいて、本当に心配ななか通わせていたのでホッとした部分と、この先の毎日をどうやって過ごせばいいのか一気に不安になったのを覚えています。

 そんな生活が始まって緊急事態宣言も出て、自粛生活も2カ月目に入る人も多いのではないでしょうか。感染者の数も増え、世界に起こっていることがまるで映画の中のことのように、ふと現実との境がわからなくなる、そんな方も多いと思います。

 私も含め子育て中の母親、父親がみんな悩みを抱えている今、少しでもみんなの不安が緩和されることを願って本稿を書き始めました。

 もちろん私の見解ですが、一つだけわかりやすく言うと、自粛については真面目に捉え、子供との時間は真面目になりすぎないこと。今の私には、そこが落ち着いた結論。だって今までとはすべてが違う、何もかも初めての生活なんだから。ママも子供も始まったばかり、できなくて当然。一緒にゆったり過ごすしかない!

 まず休校が始まってママたちがしたことは、情報交換ですよね。

「毎日朝から何する?」

「勉強はどうするの?」

「公園行っていいの?」

など、とにかく緊急事態宣言の期限までどう過ごすか。今の時代はSNSが盛んなので、どちらかというといろいろな情報が多すぎて惑わされがち。あまりに情報が多いから、

「自分だけできてないんじゃないか?」

「一生懸命やらないと自分の子だけ遅れてしまうのではないか?」

 そんな不安からさまざまなドリルを買ったりして取り組んだ人も多いのではないでしょうか。私も不安になってしまい、とにかく情報を集めすぎて結局どうすればいいのかわからなくなってしまったひとり。

 でも、初めてのことだから、やっぱり親子で戸惑うことのほうが多いのも当然。一生懸命やる、それって素晴らしいこと。でも、一生懸命やりすぎると今の状況だと親の心まで壊れちゃう。なんせ先が見えない。終わりがあまりにも先すぎて。春休みまでがGW明けまでになって、すでに5月末までに延びたという現実。この長い戦いに、ママたちも挑まなければならない。もちろん、家にいるパパたちもそれは同じ(ここは声を大にして言いたい!)。

エピソード1:働く小学生3人のママ

「出社しなければならない方たちよりはずっと幸せだってことは、わかってはいるんですが、とにかく自宅でリモートワークって本当に大変。3人の子供と一緒にずっと家の中で生活しながらの会議5本立てなんかは本当に大変で、普通に出社していたときよりもずっと疲労困憊。

 子供たちのオンライン授業も塾ではすでに始まっていたりして、でも小学生には画像での授業はまだ難しいので横につきっきり。パソコンを渡すと仕事ができないから子供用にiPadも購入して、自宅にいるのに金銭的にも出費が増えているのが現実。これに付け加えて3食の準備。翌日の会議資料をつくるのは子供が寝静まった夜中で、寝不足の日々が続いています。リモートワーク中のみなさんは子供への対応をどうしているのか、もっと情報が欲しい」

エピソード2:小5の息子がいる専業主婦

「中学受験の塾に通う子供がいるので、今は塾のオンライン授業や宿題をやる日々。まだ公立の小学校なので配信授業などはないから時間はたっぷりあるようにも見えますが、心と体のバランスを取るのが大変。小学校高学年にもなると家で遊ぶのにも限界が。体力的にも外で発散させないと、家でできることは限られてくる。

 今の最大の心配は、この生活だと学力にも大きく差が出てしまうんじゃないかということ。時間がたっぷりあるからこそ、自分でやれる子とやれない子の差が大きく開くはず。ママも宿題のプリントアウトしたり、質問をしに行くこともできないので一緒に勉強して教えるしかない現実。このままで受験って本当にどうなるのか不安でしかない」

エピソード3:小1の娘と幼稚園の娘のいる専業主婦

「今一番心配なのは、学校が始まっちゃったらどうしたらいいのか? ということ。今のままで再開できるわけがないと思うけれど、公立の場合は配信授業も難しい。となると、毎日じゃなくても登校日などができる可能性がありますよね? スーパーでも“3密”といわれているのに、何十人も集まる学校の再開は絶対に難しいと思っている。結局、個人の意思で判断するしかないのか。

 この議論になるといろいろなお母さんの考え方があって、ぶつかりそうになることも多々あります。「かわいそうだから行かせる」という意見もあり、心配性な私が極端な人に見られたことも。最初は自分が変なのかと思って落ち込んだり、伝わらなくて人間関係がもやもやしたこともありました。個人判断になるといろいろな意見があるのだから、しっかり国としての方針を決めてほしいと願います」

 自分たちが崩壊せずに、子供たちの心を保つ方法。それって本当に難しいこと。だからこそ情報に惑わされずに、がんばるところはがんばって、手を抜くところは手を抜く。自分の中での優先順位を決めるって大事だと思う。

 心の中でも優先順位があると、たくさんの情報にも迷いにも、旦那さんへのイライラも一歩立ち止まって考える時間ができるから、もしかしたら少し気持ちが楽になるのかもしれません。今迷っているのは自分だけじゃない。悩んでいるのも自分だけじゃない。どんどん世界の状況が変わりゆくなか、いかに柔軟にいろいろ考えられるか、重要なことを見極める力が必要とされますね。

 次回もまたママたちの心の中をお伝えできたら。

stayhome

(文=高橋志津奈/ファッションエディター)

高橋志津奈/ファッションエディター

高橋志津奈/ファッションエディター

人気ファッション雑誌『VERY』のエディター/ライター。ファッション好きが高じて2007年に専業主婦からライターへ転身。抜群のセンスと読者のニーズを把握する取材力で、毎号多数のメインページを手掛ける。私服で誌面に登場すると“好きなコーディネート”のランキング入りするほど人気。3人の子どもの母であり、フォトグラファーの夫のマネージャーも務める。リアルな日常が垣間見られるブログやインスタグラムもフォロワー多数。2015年2月に出版した初の著書『VERYエディター高橋志津奈のSimple Casual』がベストセラーに

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