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EU離脱、世界的「英国離れ」加速…米中欧が同時景気後退突入&金融危機再来の兆候

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授
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 また、6月30日、IMF(国際通貨基金)はグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)の中で、ドイツ銀行が金融システムに与える潜在的なリスクがもっとも高いと報告した。理由は、ドイツ銀行がほかの大手金融機関と強くつながっていると考えられるからだ。

 IMFによれば、ドイツ銀行の経営不安が生じた場合、各国の大手金融機関にもリスクが波及し、金融システム全体が混乱する恐れがある。なお、IMFはドイツ銀行に続いて、HSBCやクレディ・スイスなどの欧州金融機関のリスクが高いと指摘している。

くすぶる不動産関連

 欧州金融機関のリスクの高さが指摘されている背景には、バブルの後始末としての不良債権問題が解決していないことがある。2000年代に入り世界的な不動産バブルが膨らむなか、欧州では多くの銀行が不動産関連のビジネスを強化した。

 00年代半ば米国の住宅バブル崩壊をきっかけに不動産バブルがはじけた結果、欧州の銀行は不良債権問題に直面した。当該セクターが抱える不良債権の規模はリーマンショック前の水準を上回り、EBA(欧州銀行監督機構)からも収益低下への懸念が示されている。

 本来であれば景気を支えるべき金融政策にも、銀行の収益を圧迫している部分がある。それが、14年6月にECBが採用したマイナス金利政策だ。それ以降、ドイツを中心にユーロ圏の国債利回りは大きく低下した。国債利回りの水準は銀行の収益に影響を与えやすく、銀行の収益懸念は強い。

 すでに16年2月、ドイツ銀行が破たん時の損失吸収を目的に発行した債券の利払いを実行できないとの見方が広まり、同行の株価は急落した。この時、投資家はドイツ銀行が金融システムの混乱を引き起こすのではないかと懸念し、世界の金融市場は急速にリスク回避に向かった。FRBやIMFが欧州の銀行が抱えるリスクの高さを指摘したことは、必然といえる。すでに英国の国民投票後、ドイツ銀行の株価は年初来の最安値を更新し、上値の重い展開が続いている。

欧州政治リスクへの懸念

 国民投票の結果、過半数の投票者がEU離脱を選択し、英国、欧州の政治は混乱している。英国では国民投票の結果を後悔する市民らが、国民投票の再実施、EU残留を訴えている。北アイルランド、スコットランドの独立機運も高まり、英国の政治はどう進むかわからなくなっている。

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