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7月6日、日本の20年国債の利回りはマイナスの水準に落ち込み、国内の金融機関などは利回りを確保するために、社債などを積極的に購入している。イギリスの国民投票後、世界的に株価は大きく下げた。しかし、イングランド銀行が夏場の金融緩和の可能性を示唆したことを境に、低金利がリスク資産を支える“金融相場”の様相が強まっている。そのため、イタリアの銀行業界に対する懸念も、足元で幾分小康状態を保っている。
もうひとつ気になるのは、金利が低下し一部の国で金利が消えつつあるなかで、世界の基軸通貨ドルへの人気が高まっていないことだ。英国のEU離脱が醸し出す欧州分裂の懸念は、ユーロなどの減価を高め、ドル買いを誘発してもおかしくはない。
世界経済の先行きと金融市場
8日に発表された米雇用統計では、雇用の回復が続いていることが確認された。非農業部門の雇用者数は、市場予想の18万人程度を上回る28.7万人増だった。時間当たりの賃金は前月から0.1%の伸び率にとどまった。それが物価上昇期待を抑制するとの見方もあるが、米国の経済は緩やかな景気回復を維持しているといえる。
しっかりした雇用統計の発表直後、米国の金利は一時反発したものの、その勢いは続かずその後、低下に転じた。これを反映してドルは主要通貨に対して伸び悩んだ。この動きは、「年内の利上げが遠のいた」ことだけでは説明が難しいだろう。年内は無理でも、来年の利上げが可能だとすれば、ドルの保有は正当化されるはずだ。
しかし、先行きの不透明感が高まるなか、来年の米国経済、金融政策の動向を見通すことが次第に難しくなっている。そこで、市場参加者は欧州をはじめとする地域での金融緩和期待に乗って、一部の投資家がいわば近視眼的に、米国の金融緩和を意識し始めていることも想定される。
今年初来で、ドルは主要通貨のバスケットに対して2%程度下落した。同じ期間で金先物価格は3割近く上昇している。金価格の動向は、ドルの価値に対する期待や懸念をよく反映する。徐々に市場参加者は米国の量的緩和第4弾(QE4)等の緩和策の発動を意識しているのかもしれない。それが、先回りして金を保有しようとの動機を高め、金価格の大幅な上昇につながっているかもしれない。
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