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膨大な奨学金返し、最低賃金で働き続ける人が多発!自己実現できないと死ぬ日本

構成=林克明/ジャーナリスト
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 これ以上は学生ローンを増やせないと思ったことも、07年にアメリカの大学院に進学した理由のひとつでした。アメリカでは、一定レベル以上のPh.D課程(大学院博士課程)では学費が要らないのです。

 どういうことかというと、学費は研究室がすべて負担し、さらに生活費兼給料のようなものを月に1300ドル(13万円)ほどもらっていました。その間、日本の奨学金返済の開始は遅らせてもらっていました。

日本の公的教育費はOECD34カ国中で最低

 あまり知られていないことですが、日本の奨学金は80年代から根本的に変化しています。84年に有利子の第二種奨学金が導入され、現在、借りられている総額の3分の2が有利子の奨学金です。かつての日本育英会が独立行政法人化して日本学生支援機構になって以来、委託された取り立て会社による取り立ては極めて厳しく行われています。

 そもそも、日本の教育への公的支出は極めて低いのです。15年のOECD(経済開発協力機構)の発表によれば、12年のGDP(国内総生産)に対して3.5%で、34カ国中最下位でした。平均は4.7%で、最高がノルウェーの6.5%でした(産経ニュース「教育への公的支出、OECDで最下位」)。

 日本の学生は、教育への公的支出がこれだけ低いという、世界的に見て特殊な状況に置かれています。日本のように、資源が乏しく、人的資本でもっているような国では、国力を維持するために教育が極めて重要なわけですが、日本の教育行政は、教育にかかる費用は個人で負担するべきとの考えを基調にしています。

 この考え方は、終身雇用と年功序列を基本とする高度経済成長期の労働環境では、なんとか機能していたのでしょう。しかし、今や労働人口のうちの4割が非正規雇用です。そして、長時間労働が蔓延しています。労働や賃金のあり方が変わっているのに、学生ローンだけはかつてと同じか、それ以上に厳しく個人への負担を強いているという現状です。

なぜ最低賃金を時給1500円にすべきなのか

 エキタスは、このような状況にあっては最低賃金時給1500円が必要だと訴えています。今日、最低賃金時給で働く人の典型的な姿は、バイトをしている学生や主婦ではありません。一家の生計を支え、奨学金を返済しながら子育てをしているような人たちが、最低賃金で働いているのです。

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