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こういうソフトな自己実現型のプレッシャーは、画一的なプレッシャーよりもきつい部分があります。かつての画一的なプレッシャーのもとでは、一定の労働を果たしさえすれば、あとは凡庸で普通の幸せにとどまることが許されました。
退勤後も自己啓発本を読んだり、英語の勉強をしてスキルアップを狙い、「より充実したキャリアで自己実現しよう。それができない自分は無能だ」というような重圧をコンスタントに与える労働支配は、最近になって加速しています。
運命論から脱出するための運動
自己実現型のプレッシャーのもとでは、すべては最終的に「才能」の問題になってしまいます。コミュニケーション能力や、個性的な創造性、生来のものを教育で鍛えるというのは、実はかなり無理のある話なのです。
このような社会の中では、多くの学生が自分は運命的にダメなんだと感じてしまう。だから、長時間労働や低賃金といった条件にも従うしかないという心境になるのです。
エキタスのような運動は、こういう運命論に抗する力のひとつで、人格的な尊厳の問題そのものなのです。
社会に負債を負い、「運命的に自分はこうやっていくしかない」と追いつめられている若者や非正規労働者たちに、こうなったのは運命でもなんでもなく、社会の労働の在り方や具体的な法律が原因であって、変えることができる、「この重圧は不当だ」と言っていいのだと伝えるべきではないでしょうか。
(構成=林克明/ジャーナリスト)
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