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確かに、犯罪捜査にはカメラ映像は役立てられている。人通りのない深夜であっても、カメラの監視は続くし、あいまいな目撃証言に頼るより、冤罪の可能性も減るだろう。以前とは、安全や防犯とプライバシーに関する人々の意識も変わってきた。
しかし、だからといって、個人が国家権力によってみだりに容貌の撮影をされない自由、私生活に関する情報を収集・管理をされない自由、そして思想信条・政治活動の自由といった、憲法が保障する大原則がないがしろにされ、なし崩しになってよいということにはならない。
私たち国民も、町中にあるたくさんのカメラに囲まれて生活するなかで、撮られることに慣れすぎて国家権力によって「みだりに容貌・姿態を撮られない自由」があることに、少し鈍感になっているかもしれない。監視社会がどんどん進行している今、「国民の私生活の自由」という原則を守りつつ、時代状況や必要に合わせてどう例外を設定していくかという議論がもっと必要ではないか。
2003年、第156回通常国会に、当時衆院議員だった河村たかし氏(現名古屋市長)らが、議員立法で「監視カメラ設置適正化法案」を提出した。行政機関の監視カメラについて、設置や画像の管理・利用についてのルールづくりを目指したものだ。衆議院で審議未了で廃案となったが、こうしたルールづくりの必要性は、この頃よりもさらに高まっていると思う。
できれば、超党派で議論をしてもらいたい課題のひとつである。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)
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