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C型肝炎は昨年11月、ソウル市内のクリニックで97人の感染が判明。続いて今年2月にも韓国東北部・江原道原州の整形外科医院で217人の集団感染が報告されている。3件目の報告に市民は「またか」とうんざりしたが、悪いニュースはまだ続いた。9月2日に地方の大学病院で3人の院内感染が判明。また、5日にはがん検診機関に指定されたクリニック3288カ所のうち、約10分の1の330カ所で内視鏡の消毒・洗浄不備があったと報じられた。不衛生な内視鏡は、いうまでもなく院内感染の元凶だ。
ずさんな衛生管理と経営難のクリニック
一連の事態に対して、韓国メディアでは「発展途上国型感染症」のフレーズが飛び交っている。過去20年ほどでITインフラなど先端分野は高度に発達したものの、医療・衛生面ではまだまだ遅れているという自戒を込めた表現だ。
短期間で急激な経済発展を遂げた韓国は、まだ社会のあちこちにその歪みが残る。例えばMERS騒動でも明らかになったように、医療機関のずさんな衛生管理体制が日本の医療関係者を驚かせることは少なくない。現地保健当局の関係者もC型肝炎に関するインタビューで、衛生管理に関する教育不足を指摘していた。
いっぽうで小規模なクリニックの経営問題も要因のひとつだ。C型肝炎が集団感染する主な理由に挙げられるのが、使い捨て注射器の使い回し。1つ数円~数十円程度の注射器を惜しんで再利用しているわけだ。また、最近になって「カクテル注射」がブームとなったことも、不適切な注射措置に拍車をかけた。
こうした現象の背景には、現行の診療報酬制度で小規模クリニックの多くが経営に苦しんでいるという事情がある。ビタミンや生薬成分を調合して投与する「カクテル注射」は、韓国でも医療保険の対象外。経営に苦しむクリニックは保険対象外のサービスに躍起となっており、「カクテル注射」も美容効果などを盛大にアピールしてきた。その結果、衛生管理の不十分なクリニックでの安易な注射措置が急増した。
情報の混乱から風評被害まで
韓国では1990年代、「国民の12%が感染した」といわれるほどB型肝炎が大流行したことがある。その原因は、1980年に145人の患者を出したコレラの集団感染。当時の軍事政権が大慌てで大規模なコレラの予防接種を行ったところ、不衛生なワクチン投与が逆にB型肝炎の蔓延を招いたわけだ。
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