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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国、沖縄の対岸に最新鋭ステルス戦闘機を配備か…尖閣諸島奪還が目的か、挑発先鋭化

文=相馬勝/ジャーナリスト

 このときの日本の航空自衛隊の戦闘機のアクションとして、中国国防省は12月10日夜、空自戦闘機2機が沖縄県の宮古海峡上空で中国軍機に接近し、赤外線センサーをかく乱するフレアを射出したと発表した。日本の防衛省は中国軍機6機に対して戦闘機を緊急発進させていたが、「近距離で妨害を行った事実はなく、妨害弾を発射し中国軍用機とその人員の安全を脅かしたという事実も一切ない」と反論している。

 これについて、一部の中国系軍事サイトは「日本の戦闘機は東シナ海で人民解放軍機に『ロックオン』されて、妨害弾を放って命からがら逃げた」との情報を掲載している。この専門家は、「これらの情報を総合すると、中国側は日本の自衛隊や台湾軍、さらに真の狙いは、日台の背後にいる米軍への挑発だ」との見方を示している。

トランプ米政権発足の余波

 トランプ次期大統領は12月に入って、台湾の蔡英文総統と電話会談を行った。その2日後には、米FOX テレビのインタビューで、「私は完全に『一つの中国』の政策を理解している。だが、中国が貿易やその他の実務上の交易を達成できないのであれば、われわれはなぜ『一つの中国』政策を甘受しなければならないのか。『一つの中国』政策を維持するかどうかは、中国の通貨政策、南シナ海での海洋進出、北朝鮮に圧力をかけるかなどを見極めてから決める」と言い放ったのだ。

 これに対して、中国政府の台湾事務弁公室は「一つの中国の原則は中国と米国の関係発展のための政治的基礎であり、もしこれが破壊されれば、中米関係の発展を話し合うことはあり得ない。台湾海峡の平和は必ず激しい衝撃に見舞われるであろう」とのコメントを発表し、中国の台湾への武力侵攻も辞さないとの立場を明らかにしている。

 これは、米国が一つの中国の原則を踏みにじり、台湾があたかも独立国であるように扱うならば、中国軍の台湾への軍事侵攻もありうるとの原則的な立場を改めて強調したことになる。

 このため、冒頭の中国の次世代型最新鋭ステルス戦闘機「J20」が台湾や尖閣諸島まで10分程度で到着するという「東部戦区」に実戦配備されても、まったく不思議ではなく、中国側から見れば、当然の措置なのである。つまり、トランプ次期政権が発足すれば、台湾海峡の波はますます荒くなり、その余波は尖閣諸島にまで押し寄せるということにほかならない。

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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