1月に発足した米トランプ政権のマティス国防長官が、2月3~4日に来日。安倍首相を表敬訪問し、稲田朋美防衛大臣と日米防衛相会談を行った。2月10日にはトランプ米大統領就任後としては初となる日米首脳会談が米ワシントンD.C.で開催されるが、日米関係とそれを取り巻く国際関係はどうなっていくのか。元防衛大臣で拓殖大学総長、安全保障のスペシャリストである森本敏氏に話を聞いた。
「マティス長官が訪日するに当たり、大統領にどれだけ細部にわたる政策の合意をとってきたのかは我々にはわかりません。恐らく大統領は、防衛政策についてはあまり細部の指示をすることなく、大枠についてマティス長官に政策全体を任せようとしているという感じを受けました。
今回の訪日では、第1には日米同盟の重要性を確認し、第2には安全保障面での抑止力や対応力を強化していくという認識を共有すると共に、第3には尖閣諸島について日米安全保障条約第5条を適用するということを再確認、第4には普天間基地については、辺野古への移設が唯一の解決策であることを確認しました。
この4つについて、日本は国防長官の対応に安心し、信頼できるという気持ちになったと思います。ホストネーションサポート(駐留米軍の経費負担)については、『他国へのモデル=お手本』であると言いました。お手本とまで言うのだから、『これ以上負担を払え』などと言うはずはなく、これで日本の持っていた不安は解消されたと捉えていいでしょう」(森本氏、以下同)
他方、トランプ大統領は大統領選挙戦を通じて「日本は自国を攻撃されれば米国に防衛してもらうのに、米国が攻撃されても何もしないというのでは不公平だ」と批判し、日本はもっとホストネーションサポートを負担すべきと言ってきたし、又、同盟国は対価を払うべきだとも言っていた。ホストネーションサポートは解決済みとしても、残りの問題をどうするかについて、稲田防衛大臣は防衛力の質・量を強化するという説明をされたのですが、これを今後、どのようにするかという問題はこれからの課題となったと思います。
トーンダウンする対中戦略
マティス長官は訪日の前に、韓国を訪れた。これをどう見るべきか。