「北朝鮮の脅威が徐々に増加している状況下において、米韓同盟の強固な結束を米韓両国で確認し合ったことにはTHAADの配備を計画通りに進めたいという、アメリカ側の要望を正しく伝え、さらにこのことについても合意した。この二つだったと思います」
THAAD(終末高高度防衛ミサイル)は、弾道ミサイルが大気圏に再突入している段階で、迎撃・撃破する能力を持つ。北朝鮮や中国が強く反対してきたけれども、この問題について日米と中国の間で緊張が高まることはないのだろうか。
「米議会の証言の中で、マティス国防長官はかなり中国に対して厳しい対応を表明していましたが、今回の日米防衛相会談の内容をみると、北朝鮮と比べて中国に対しては対応が違うと思います。南シナ海で中国が信頼を踏みにじっている、国際秩序の基本的ルールを守っていないと批判し、米海軍が南シナ海で実施している『航行の自由作戦』は絶対的に重要だと日米で認識を共有しました。ただ、中国とは適切にオープンなコミュニケーションラインを維持していていくことが重要であって、中国には外交的な努力に訴える、軍事的な対応は行わないとしているので、議会で証言していたものよりも、トーンダウンした表現になっています」
南シナ海など中国が滑走路を含む人工島を建設し、領有権を主張している海域であっても米国は国際法上の権利として軍事行動を伴わない無害通航を行っているのが、「航行の自由作戦」である。
日米首脳会談
トランプ大統領の就任以降、今後の対応に不安を感じていた日本も、マティス長官の来日に安堵して、トランプ大統領の発言に軌道修正してくれるのではと期待感が高まっているようにもみえる。
「マティス国防長官は伝統的な保守主義者であり、軍の最高位まで上り詰めた軍人の洗練された知性に感銘を覚えた人もいるのではないでしょうか。トランプ政権と共和党議会の中でマティス国防長官に対する異論はありません。彼を批判する報道もないですね。ただ、ティラーソン国務長官もそうですが、米政権の閣僚はそれぞれが自分の役割をきちっと果たすということではありますが、トランプ大統領を抑えることができる人など、政権内には誰もいないと思います」
果たして、日米首脳会談はどのような流れになるのだろうか。