東京電力福島第1原発事故によって、福島県から横浜市に避難してきた小学生に対して行われたいじめ問題。この「原発避難いじめ」に対し、「横浜いじめ放置に抗議する市民の会」(井上菜穂子共同代表)は、昨年12月から街頭やインターネットでの署名を行い、1898筆の署名を付けた要望書(後掲)を1月26日に林文子市長と岡田優子教育長宛に提出した。記者会見を行い、岡田教育長と林市長に対し、いじめの実態再調査を求めるとともに、被害者と家族への謝罪を求めた。
昨年11月、第三者委員会がいじめを認める報告を出した後、岡田教育長は記者会見で「(長期間)苦しい思いをさせてしまった」と謝罪した。しかし生徒に直接謝罪する件については、林市長と共に返答を曖昧にし、その後も謝罪は行っていない。
その一方、今年に入り1月20日の市常任委員会で、同教育長は「金銭授受はいじめではない」と発言し、被害者生徒に150万円もの遊興費を貢がせるひどいいじめの実態に驚いた市民の受け止め方とは、大きな違いを見せた。
記者会見で同市民団体は、「横浜の原発避難いじめ問題が報道されてから、本当に心を痛めて、私たちにできることはないだろうか?と思い、立ち上がった市民団体である」と説明。「1人の児童を守ることができなかった。たった1人の児童を守ることができなければ、10人の児童、100人の児童、1000人の児童を守ることができません」と要望書を提出した。
井上共同代表は、次のように語る。
「横浜市教育委員会の定例会や臨時会では、このいじめ問題が報道されてから、まだ1度も議題にこの問題が入り、討議されたことがありません。今の横浜市教育委の委員の中に、『被害児童を抱きしめてあげたい。死なないでいてくれてありがとう。助けてあげたい!』、本気でそう思う委員はいないのではないか」
井上さんは、市教委に注目し始めたのは、昨年横浜市で大きく取り上げられた、放射能汚染廃棄物や汚染土が、学校や保育園に放置されていた問題を通してだという。自分の子どもが通っていた学校にも放置され、事実を知った時に、「保護者には一切、何も知らされていず、驚いた」という。市教委や本会議、常任委員会の傍聴によく行くが、いじめや汚染物の学校保管問題も含め、「市教委に決定的に欠けているのは『子どもの命と健康を守る』ということです」と語る。当日、岡田教育長は以下のようなコメントを示した。