2017年2月6日、東京都台東区の上野近辺にチェーン展開するメガネ専門店「めがねおー」のホームページで公開された画像が物議を醸した。
「WANTED」「あなたです!! 徹底的に追いかけます!! 覚悟してください!!」
こういった物々しい言葉とともに公開されたのは、「めがねおー」御徒町店の防犯カメラに映ったモザイク入りの人物の画像。それは万引き犯の姿が映った画像だったのだ。
物議を醸したのは、そこに「3月1日までに返却か弁償をしなければ、モザイクも外す」と記されていたからである。
万引き被害による類似の対応として、約3年前に古本チェーン店「まんだらけ」でも犯人のモザイク入り画像を公開したことが話題になった。だが、当時の「まんだらけ」も今回の「めがねおー」と同様、「名誉棄損、プライバシー侵害ではないのか」「“私刑”なのではないか」といった批判も上がっていた。
事件が起こったのは2月4日の夕方。盗まれたのは俳優・哀川翔氏がプロデュースした「SAMURAI SHO」というシリーズのメガネ7本、販売価格で合計21万円の被害だったという。
しかし、同店の防犯カメラで不審な人物の姿がはっきりと撮影されており、その人物が去った後に7本のメガネが消失していた。また、知り合いのブランドメガネ買取り店の従業員に、防犯カメラの男の画像を照会したところ、特徴が酷似する男が、その日のうちに消失した商品と同じメガネを売却に来ていたという証言も取れているという。この中古ブランドメガネ買取り店の従業員は、盗品の可能性があると考え、買い取りしなかったそうだ。
これらの状況証拠から、「めがねおー」を運営するネット・マジック代表取締役社長・張谷満氏は、この映像に映っている人物が犯人に違いないと確信し2月6日、警告メッセージと共にモザイク入りの画像を公開したのである。
その後、2月13日に東京都北区にある別のメガネ店で、23歳無職の男が万引きで逮捕され、この男が「めがねおー」御徒町店でも窃盗を働いたと自供したため、モザイクなしの画像が公開されることなく事件は解決に至った。
“自力救済”にあたり、名誉権、プライバシー権を侵害する恐れも
弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏は、万引き犯とみられる人物の画像を公開する行為について、次のように解説する。