急接近する習近平とプーチン、中露超大国同盟…欧州~露~北海道通貫の新シルクロード計画
来る5月14、15の両日、中国・北京で「一帯一路」サミットが開催される。この会議にはロシアのプーチン大統領はじめ28カ国の首脳が参加する予定である。日本からは自民党の二階俊博幹事長が出席し、安倍首相の習近平・中国国家主席宛の親書を持参する方向で検討中だ。北朝鮮が核・ミサイル開発を強行するなか、平壌に強い影響力をもつ中国との関係を重視していることをアピールする狙いも込められているに違いない。
30年余りの改革開放政策の結果、GDPで世界第2の経済大国となった中国。習近平主席の肝いりでアジアインフラ投資銀行(AIIB)等を立ち上げ、新興国を中心にインフラ整備に力を入れ、グローバルなスケールでの「仲間づくり」に成果を上げ、存在感は揺るぎないものになっている。そして、今では現代版シルクロードと呼ばれる「一帯一路計画」を掲げ、アジアとヨーロッパを結ぶ新たな物流インフラの建設に余念がない。この計画には国連はじめ、100を超える政府や国際機関が協力文書にすでに署名をしている。
先に1500人のお供を連れて日本を訪問したサウジアラビアのサルマン国王だが、東京から北京に移動。中国との間では日本以上に経済、軍事の両面にわたる協力関係の強化に努めたようだ。特に、新疆ウイグル自治区などにイスラム教徒を多数抱える中国にとっては、サウジアラビアの持つ情報と影響力は是が非でも手に入れたいもの。すでにテロ対策を専門にする特殊部隊の合同演習も始まった。現代版シルクロードの成功には、周辺の治安維持が欠かせないからだ。
また、日本以上に石油を輸入してくれる中国は、サウジにとっては大事なお得意様に違いない。脱石油社会への変革を模索するサウジは「サウジ・ビジョン2030」を打ち出している。実は、この中期・長期計画にとって、習近平の「一帯一路」は補完効果が期待できるため、両国は50を超える協力プロジェクトに合意したのである。中国企業はすでに145億ドルの投資を行っている。
欧米諸国から人権問題に絡んで批判を受けても、習近平主席は「どこ吹く風」と言わんばかりで、ユーモアたっぷりに切り返す。曰く「靴が合っているかどうかは、靴を履いている本人しかわからない」。厳しい批判にも、中国式の知恵を絡めた自信と迫力で対応する。独裁的な王室体制には内外から懸念の声も上がっているサウジとは共通点も多く、サルマン国王は習近平主席との間では日本で見せた以上の笑顔を振りまいていた。