小池氏ですら東京都制度や東京都政を理解できていないのだから、小池ブームで当選したチルドレンたちはいうに及ばない。そんな素人集団に、東京の舵取りを任せても大丈夫なのだろうか。
東京都は人口1000万人を超える巨大都市。職員数も予算も膨大で、国政への発言力も影響力も、ほかの46道府県とは比較にならない。一地方自治体とはいえ、47都道府県のなかでも東京都の存在感は突出している。都政が停滞すれば、日本全体も混迷してしまう。それだけに東京都知事が果たす役割は重要である。
東京都職員の自負
ところが、都庁職員はそんな心配を一笑する。その理由は都職員が優秀だからだ。東京都の予算規模は約13兆円。これはスウェーデンの国家予算と肩を並べるレベルで、いわば東京都は国家と同格。当然ながら、そこで働く都庁職員も中央省庁の官僚たちと同列という意識が強い。
そうした強い意識は東京都の副知事人事にも表れている。47都道府県の副知事は、条例で上限定数が決められている。東京都と愛知県は4人、神奈川県・京都府・大阪府は3人といった具合だ。46道府県の副知事は生え抜き職員を1人、中央省庁からの出向職員を1人起用することが慣例になっている。
ところが、東京都だけは事情が異なる。東京都は中央省庁の出向職員を副知事に起用していない。そこに「東京都は中央省庁の天下りポストではない」という強い意識が見え隠れする。中央省庁の官僚たちと伍するほどの事務能力を有する優秀な都庁官僚が跋扈する都庁では、「どんな無能な都知事であっても都政は十分に機能させられる」との自負もある。それゆえに、「逆に、都知事は素人のほうがコントロールしやすい」という本音も聞かれる。
一方、都民ファの新人議員の隙を虎視眈々と狙っているのが週刊誌だ。選挙中にもスキャンダル報道が飛び出したが、選挙直後も「週刊新潮」(新潮社)は、都民ファの新人議員を“ポンコツ議員”と形容し、早くも攻撃を開始した。現在、週刊誌報道はジャブ程度だが、火を噴くのは時間の問題といえるだろう。
都民ファの新人議員は、本当に“東京大改革”を成し遂げられるのか。それとも馬脚を現して“ポンコツ議員”化してしまうのか。東京都政の今後は、そのあたりが焦点になりそうだ。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)