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「後妻業」殺人事件裁判がトンデモナイ異常展開…筧被告「私が殺めた」で弁護団が混乱

文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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「後妻業」殺人事件裁判がトンデモナイ異常展開…筧被告「私が殺めた」で弁護団が混乱の画像1筧千佐子被告の初公判が行われた京都地裁

 昨年、大竹しのぶ主演の映画『後妻業の女』がヒットしたが、現在、京都地裁では遺産を狙い結婚相手や交際相手の男性4人を殺したとされ、殺人罪、強盗殺人未遂罪で起訴された筧千佐子被告(70)の裁判員裁判が進行中だ。6月26日の初公判もメディア熱はさほどではない。

 審理は逮捕(2014年11月)のきっかけとなった、13年12月28日に京都府向日市の自宅で倒れた夫、筧勇夫さん(当時75)の不審死から。検察は千佐子被告が自宅で青酸化合物を飲ませて死亡させ、死亡直後に業者に金庫を開けさせ、銀行預金を下ろそうとしたとする。

 すっかり白髪姿の千佐子被告は耳が遠くなりヘッドホンを装着。逮捕前、メディアの前で雄弁に無実を訴えていた面影はない。「弁護士さんにお任せしています」とだけ答えた。

 勇夫さんの胃から青酸化合物が検出されたが、入手先など直接証拠は乏しく、弁護側は「無罪主張」を展開、「認知症の悪化」から公判停止も求めている。人定質問で千佐子被告は日向市の詳細な住所が言えなかったが、その家で生活を始めてからわずか1カ月後に勇夫さんは死亡しており、単に住所を記憶していなかった可能性もあり、認知症の影響とはいえない。

 法廷では検察側提出の証拠として「夫が倒れた」という119番の電話録音が流れた。動転している様子はない。消防隊員が「心臓マッサージを」と言っても、「そういうても、もう冷たくなりかけてるし」と淡泊だった。

慌てた弁護団

 7月10日からの被告人質問の冒頭、主任弁護人の「弁護人の質問にはどうされますか」と問いかけた。彼女は「お答えします」と答えた。続いて「あちらにいる検察官の質問には」には「黙秘します」、「裁判官には」にも同様に答えた。

 ところが、検事の「ご体調は」という質問に「いいです」と答えたかと思うと、「勇夫さんを死なせた裁判とわかってる?」「勇夫さんに毒飲ませて殺害したのは間違いないですか」「弁護士はやっていないと言っていたが、毒飲ませたのは間違いないか」などの質問すべてに、千佐子被告は明瞭に「はい」と答え、起訴事実をあっという間に認めたのだ。

 わが身を死刑に追い込むかもしれない検事。だが、千佐子被告は「そのことは先生(検事)に何べんも話してますやん」と繰り返した。その様子は男性検事を弁護人よりも信用しているようにも見えた。勇夫さんの殺害動機は「差別です。同和とかとは違いますよ」と切り出し、「勇夫さんは前の女性には何千万円も渡してたのに、私には全然くれなかった。いい人だけど差別され憎くて殺した」と話した。

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