公的年金には、40年間の加入が義務付けられています。ただ、40年すべてに加入していなければ年金がもらえないということではなく、これまでは最低25年加入していれば受給権が発生しました。
この受給最低資格が、8月から10年に短縮されました。今までは、加入期間が24年11カ月の場合は老後の年金を1銭も受け取ることができませんでしたが、これからは届けを出せばもらえるということです。
これは、昨年11月に成立した改正年金機能強化法によるもので、8月から施行され、10月に振り込まれる9月分の年金から対象となります。そのため、今は年金を受け取っていないが新たに受給権が発生する高齢者約64万人に対して、申し込み書類が発送されています。
公的年金を受給するには年金事務所での手続きが必要なので、「10年以上年金に加入しているが、年金をもらっていない」という人は、手続きを急いだほうがいいでしょう。
また、自分では「10年に満たない」と思っていても、「消えた年金」が発見されるケースもあります。いまだ名義がわからない年金記録が2000万件近くあるため、この中から自分の年金を発見することができれば、受給資格が発生するかもしれません。
加入10年でもらえる年金は年額19.5万円
これからは10年加入すれば公的年金の受給資格が発生しますが、加入10年でもらえる年金額は、40年間保険料を納めた人に比べると、かなり低くなります。
現在、40年間年金保険料を払い続けてもらえる国民年金の老齢年金満額は、平成29年度で77万9300円(平成28年度に比べて800円低い)。月額では6万4941円です。
加入10年では、その約4分の1ということになるため、年額で19万5000円ほどになります。月額で約1万6000円です。額は少なくなりますが、まったくもらえないよりはましではないでしょうか。
会社員の場合、会社に年金保険料を徴収されるので「40年間、きっちり加入している」という人も多いでしょう。仮に、妻が専業主婦で40年間夫の扶養に入っていたとすれば、厚生年金から2人でもらえる年金額は平成29年度で月額22万1277円(賞与を含む給与が月額換算で42.8万円の場合)。夫は40年間厚生年金に加入しているが妻は国民年金に10年しか加入していないという場合は、月額17万円ほどになります。
公的年金には、将来もらう老齢年金のほかに、残された遺族がもらう遺族年金や障害を負ってしまったときにもらう障害年金があります。老齢年金については、最低10年加入していれば受給権が発生しますが、遺族年金は25年未満の場合はもらえません。障害年金は、直近1年間に保険料を納めていれば受給の対象になります。
年金保険料が支払えない場合は「免除」も可能
「年金はもらいたいけれど、収入が低くて年金保険料が支払えない」という方もいることでしょう。
現在の国民年金保険料は、月1万6490円。年額で19万7880円です。非正規で月々の手取りが10万円くらいしかない場合、年金保険料を支払ったら生活していけなくなるというケースもあるかもしれません。
『生き返るマンション、死ぬマンション』 年々ローンはきつくなるのに、資産価値はどんどん落ちてゆく――マンション大崩壊の時代に、我々庶民に打つ手はないのか? そんな悩みに「庶民の味方」が日本各地を徹底取材。あなたのマンションを「お宝」に変える方法を具体的に紹介!