そういう人は、まず免除の届け出ができないかどうか検討してみましょう。年金には所得に応じた保険料免除制度があり、免除を申請して承認されれば、年金保険料を払っていなくても将来に年金をもらうことができます。
公的に支給される年金は、現在、その半分は税金で賄われています。この税金分については、保険料を払っていない人でも、もらうことができるのです。つまり、通常の半分くらいの額はもらうことができるということです。
また、免除の届け出をしていれば、年金保険料を1銭も支払っていなくても遺族年金や障害年金の対象になるため、残された家族の生活費を賄えたり自分が病気やケガで働けなくなったときに保障を受けられたりします。障害年金は、うつ病など精神的な病の場合も対象になるため、そうした病気で長期の治療が必要となった場合にも助かります。
免除には、4段階あります。単身者なら全額免除は所得で57万円以下、年収に換算すると122万円以下。これが適用されれば、年金保険料を1銭も支払わなくても加入しているのと同等の扱いになります。表の上段は、収入から控除などを引いた後の所得。カッコ内は、年収になります。
同様に、4分の3免除の場合は所得で93万円、年収なら158万円以下で、通常は1万6490円の月額保険料が4120円になります。半額免除は所得で141万円、年収で227万円以下。同じように、月額保険料が約半分の8250円になります。
単身者だけでなく、2人世帯、4人世帯など、世帯人数が増えるごとに免除の額も増えていきます。「4人家族で年収400万円くらいの家庭」というケースは、少なくないのではないかと思います。もちろん、免除によって将来もらえる年金額は減りますが、「今の苦しさを少しでもやわらげたい」という人は検討する価値があると思います。
該当する人は、免除が適用されるかどうか、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165または03-6700-1165)で聞いてみましょう。ほかにも、失業による免除や学生の納付猶予などもあるので、支払いが大変な場合は社会保険事務所や自治体の健康保険課に相談することをおすすめします。
(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)
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