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孫崎享「世界と日本の正体」

米国、北朝鮮への軍事攻撃めぐる具体的検討が大詰め…政府高官「さまざまな選択肢準備」

文=孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長

 米国の場合、憲法上、戦争を行う権利は大統領ではなく議会にある。従って、米国においては公式、非公式のいずれの形式をとるにせよ、議会の合意を取らないで軍事行動が行われることはない。そして議会は基本的に民意に基づく。

米国の世論

 トランプ北朝鮮に軍事行動する場合には、世論づくりを行っていく。本件に関する世論調査はあまり行われていないが、4月21日に発表された「CBS News Polls」の世論調査は次の通りである。以下、長くなるが英訳・引用する。

<問>
北朝鮮の兵器開発は米国に脅威を与え、米国は軍事行動を必要とする。あるいは脅威ではあるが、コントロールされている(North Korea’s development of weapons is a threat to the U.S. that requires military action now. North Korea’s development of weapons is a threat that can be contained right now)。

<世論調査結果>
・軍事行動を必要とする:27%
・コントロールすることができる:61%

<参考1>
ボルトン「北朝鮮への軍事攻撃選択(The Military Options for North Korea )」(8月2日付ウォール・ストリート・ジャーナル)

・北朝鮮は米国東海岸を攻撃できる最初の大陸間弾道弾を発射した。そのことは25年間にわたる米国の核不拡散政策の失敗を意味する。ひとつの考えにこり固まったならず者国家は外交的譲歩をポケットに入れて、核兵器建設に対する経済制裁には耐えることができた。だから、もうワシントンは「アメとムチ」の政策を止める時が来た。

・イランは核兵器部品を北朝鮮から買うことできる。

・イラン、北朝鮮は米国の外交的弱さを利用してきた。

・北朝鮮は核兵器、大陸間弾道弾を持ち、米国にはわずかの選択肢しかない。さらなる対話と制裁は過去の25年が示すように失敗する。私は、唯一の永続性のある外交的解決は2つの朝鮮を統一し、北朝鮮政権を終わらせることが中国、及びアメリカの国益に適うことを、中国に説得することだと主張してきた。

・成功する外交行動がない以上、残された道は軍事的選択(複数)だ。しかし、多くの者は、北朝鮮のミサイルに対する米国の脆弱性を認めつつも、この脅威を無力化するのに戦力を使うのはあまりにも危険であるという。この論は、唯一の選択は核兵器保有の北朝鮮を受け入れ、抑止しようとするものである。

孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長

孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長

東京大学法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。1966年外務省入省。イギリス陸軍語学学校、ロンドン大学、モスクワ大学にてロシア語を習得し、在ソビエト連邦大使館を経て、1985年在アメリカ大使館参事官(ハーバード大学国際問題研究所研究員)、1986年在イラク大使館公使、1989年在カナダ大使館公使を歴任。1991年から1993年まで総合研究開発機構へ出向。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。国際情報局長時代は各国情報機関と積極的に交流。2002年より防衛大学校教授。この間公共政策学科長、人文社会学群長を歴任。2009年3月退官。

Twitter:@magosaki_ukeru

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