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安倍政権、お友達・秋元康氏のAKB総選挙に巨額税金投入疑惑…沖縄振興の要件に不適合か

文=深笛義也/ライター
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 今年、無観客の総選挙で1位に輝いた指原莉乃は「今回の沖縄でのイベント、6月に野外でということに無理があったと思っています。すみませんでした。こういう積み重ねで、皆さんの信頼を失っていくのが本当に怖い」と、悪天候で中止になったことについて、イベントを楽しみにしていたファンたちに謝罪している。

 同事業の募集する事業のなかに「観光客数の落ち込むボトム期の解消に係わる観光集客力の高いイベントの取り組み」とある。6月の開催はボトム期での集客を見込んでのことだが、この時期は梅雨で台風も多く来る時期だからこそボトム期なのだ。

「マリンスポーツが盛んなので、閑散期だから人が来るイベントとしてAKB総選挙を選んだという論理でしょうが、台風のシーズン、梅雨のシーズンにイベントを野外でやるという発想がおかしいんです。そういうシーズンなら、屋内でできるようなイベントを考えるべきですよ。あるいは台風のリスクもあるので、そこは外して繁忙期にもっと盛り上げることを考えてもいいわけです。自然相手で、特に沖縄に来る台風の威力は強いですから、飛行機が飛ばなくなることもある。そういう客観的状況を考えずに、『閑散期にAKBを呼べば人が集まる』というのは、あまりにも短絡的な発想です。

 また、同事業の採択要件に係わる留意事項というのがあって、そのなかの3つめに『アンケートの実施と報告』という項目があるんです。『事業実施の際に参加者等に対しアンケートを必ず実施し、参加者の傾向が反映された分析結果を提出すること』とある。無観客になって参加者がいないので、アンケートは採れない。するとこの採択要件から外れることにもなります。テレビで放映したから、視聴者からアンケートを採るとでも言うのでしょうか。そうすると沖縄でやることの意味はありません。あくまでも会場に来てもらった人たちに、そのイベントがよかったのか、よくなかったのか、どう改善してほしいかという意見を集めて、持続性発展性、自走化に結びつけるということになるわけですから」

誰のための「沖縄振興」か

 AKB総選挙は日本のどこでやっても、集客が見込めるビッグイベントだ。沖縄でイベントを行うことに、AKB側に特段のメリットはない。AKBが全国から集客してくれるのだから、宿泊や飲食などで多少とも地域経済は潤うことになり、沖縄にはメリットがある。沖縄県がAKBを呼びたかったというのが、真相ではないか。

「地域振興につながるということで、自然な発想としてはそうなるでしょう。AKB側としても、福岡や新潟でやってきて、今回もいろんな候補を選んでいたはずですから、その時に沖縄から誘致があれば、やろうかなということにもなるでしょう。ただそこで、交付金をそういうかたちで使うことが、果たして妥当だったのかどうか。同事業に採択されるということを前提に、沖縄県がAKBと約束していたということになると、国費の使い方を沖縄県が間違えているのではないか、という批判は当然出るでしょう」

 沖縄は日本のなかでも、音楽の盛んな土地だ。本土で民謡といえば古いものだが、沖縄は今でも新たに民謡が生まれている。沖縄独特のポップスもあり、沖縄出身で日本全国で活躍しているアーティストも多い。

 八重山諸島にある人口40人ほどの小さな島、鳩間島では、毎年音楽祭を開き、今年で20回となった。比嘉盛雄らが沖縄民謡で盛り上げたのをはじめとして、宮沢和史、夏川りみも出演。会場には、島産のヤギ汁や島野菜、近海魚に特製カレーなどが並んだ。約1300人の参加者は、沖縄独特の歌や踊り、味に魅了された。

 鳩間島音楽祭の主催者によると、イベントは自力で行っており、沖縄県の支援は受けていないとのこと。支援を受けるための公募の存在も知らないという。

「そういう沖縄らしいイベントにお金を出したほうが、地域の活性化という観点からするとふさわしいわけですよ。AKBは勝手にどこででもできるわけですから。集客によって沖縄に多少のお金は落ちるかもしれないけど、ファンはチケットを買って、投票するためにCDを買って、ほとんどのお金はプロダクションとか音楽業界に流れていくわけです。これから新しく事業を立ち上げようとしているところとか、もう少し資金援助すればもっとうまくいくだろうというところにお金を出して、その先、自立できるようにするというのが正しい使い方。うまくいっているところに国費を注ぎ込んでも、しょうがないわけです」

 当事者の見解を聞くべく、沖縄県観光整備課に連絡し、メールで質問を送った。返信がないため再度連絡すると、担当者は休みとのこと。何度も電話したが、「会議中」「議会対応中」「外勤でいつ戻るかわからない」などで、担当者はいつも不在。折り返しの電話を頼んでも、連絡が来ることはなかった。

 国費が間違った使い方をされたという疑問に、沖縄県観光整備課は答えることができないようだ。
(文=深笛義也/ライター)

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