「今回の事件を取材中に違和感を持ったのは、相撲に関する著作物が多いライターや名の知られた元相撲力士などに取材を申し込んでも、一様に断られてしまうという点です。『やはり、お話しづらいということでしょうか?』と聞くと、『すみませんが、今回はちょっと……』『また別の機会にお声がけいただければ』といった反応が多いのです。協会にとって都合の悪いことは話しにくいのかな、という空気を感じました」
こうした現象の背景について、16日付当サイト記事内でスポーツ記者はこうコメントしている。
「協会は非常に閉鎖的で、基本的にフリーのジャーナリストなどを受け入れていません。支度部屋などに入って取材するためには、協会が発行する相撲取材許可証が必要で、相撲協会に批判的な記事を書いたりすれば、すぐに排除されてしまいます。実際、過去に東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博氏が、テレビ番組でコメンテーターが協会に批判的なコメントをしたことにうなずいたとして取材許可証を没収されたことがあります。実は日本サッカー協会も、Jリーグやサッカー協会に批判的な記事を書いたりしたメディアは、その後の取材を断られたりすることもありますが、相撲協会の閉鎖性は異常です」
貴乃花親方批判の背景
そうしたなかで気になるのは、ここにきて貴乃花親方に批判的な報道が見られるようになりつつあるという点だ。週刊誌記者は語る。
「特に協会と関係の深いスポーツ紙を中心に、『貴乃花親方の行動が混乱を呼んでいる』『事態を収拾させようとする協会の妨げになっている』というトーンの報道が目立ちつつありますが、協会のリークとみられています。協会は九州場所初日の前日に当たる11日に臨時理事会を開き、事件があった旨、そしてすでに伊勢ヶ浜親方が貴乃花親方に謝罪したことを報告していますが、九州場所が始まった後もその事実を世間に公表せず、14日にスクープ報道が流れて初めて、その事実を認めました。協会としては、伊勢ヶ浜親方の謝罪によって事態の幕引きを狙っていたのでしょう。
そうした動きを受け、このまま事件が隠蔽されるのではないかと危機感を持った貴乃花親方が、メディアに情報を提供して今回の報道につながったという見方も強いです。実際に貴乃花親方が先手を打って警察に被害届を出し、その事実を協会に報告していなかったことからも、協会の体質をよく知る貴乃花親方が、隠蔽を警戒していたことがうかがえます。