また、今回の市長選において、坂下氏と高橋氏は告示前から知名度の高い政治家と一緒に写ったポスター(いわゆる“2連ポスター”)を貼り回った。公職選挙法では「告示後は候補者の氏名が入ったポスターは、選挙の掲示板以外には掲示できない」と定められており、告示前に撤去すれば問題はないが、両氏とも告示後に撤去していない。そのため、「2人は選挙違反だ」とする文書も出回っている。
12月13日、自民党の千葉県連は、市川支部が出した再選挙における坂下氏の推薦申請を差し戻している。坂下氏は選挙ポスターで「政治は誰のためにあるのか!?」と訴えているが、再選挙の推薦者を決めるのもすんなりいかないとなると、有権者は「政治は権力者と、その取り巻きのためにあるんじゃないの!?」と皮肉りたくもなる。
「1億円の税金無駄遣い」はいつまで続く?
今回の市長選で最下位となった小泉氏は、2014年8月に露呈した「切手問題」において、議員辞職勧告をされる直前に市議を辞職している。
“号泣県議”こと野々村竜太郎氏(元兵庫県議会議員)の政務活動費不正使用問題で知られることになった切手問題とは、余った政務活動費を自治体に返還せず、切手を購入後に換金して余ったお金を懐に入れる、という手法のことだ。
市川市では、この切手問題を追及するべく2つの百条委員会が設置されたが、自身も追及寸前だった市川市議会議長と副議長(共に当時)が市議会に姿を現さず、結果としてひとつの百条委員会が開催されないというドタバタが起きている。
混乱した議会を収めるために大久保市長が乗り出し、外部の公認会計士による監査が行われ、大久保市長は「不正があったとまではいえず、自主返還するかどうかは各議員の自主判断とする」と裁定を下した。これにより多くの議員が政務活動費を返納するなか、無視したのが小泉氏だった。
その後、百条委員会で証人となった青山博一議員(自民党)が「政務活動費を清算しているときに小泉議員から『そんな面倒なことをする必要はない。切手を買って換金すればいい。みんなやっている』とアドバイスされた」と暴露した。
これにより、小泉氏を対象とした問責決議が行われることとなり、議会で小泉氏の議員辞職勧告決議案が採決される予定だった。しかし、市長選寸前の今年10月、小泉氏は突如市議を辞職して市長選に立候補した。
「小泉氏は2年前の市議選で2位に大差をつけてトップ当選しています。その実績から『辞めさせられる前に辞める』と辞めて立候補するも、結果は最下位でした。市川市民は、彼を“切手議員”とみたのでしょう。口は災いの元ですね」(同)