しかし、橋下代表の説明に納得できる部分は少なく、むしろ女性有権者の「怒り」に火を注ぐことになったのではないか。産経新聞とFNNが合同で行った調査では、橋下氏の慰安婦発言を女性の79.3%が「不適切」だと回答し、沖縄駐留米軍の風俗業活用発言には女性の82.4%が「不適切」だと回答している。
この経緯を見た民主党議員のひとりは、こうほくそ笑んだ。
「相変わらず自民党の勢いに陰りはないのですが、維新の自滅で、我が党に復調傾向が出るかもしれない」
東京都議会の定数は127人。現在、民主党43人、自民党39人、公明党23人、共産党8名と続いており、民主党がトップだ。
ここは党内一致団結して、都議選で勝利し、引き続き都議会第一党の地位を確保する–と表看板通りにはいかないのが民主党である。橋下会見の翌日である本日28日、肝心の民主党の東京都総支部連合会(東京都連)で「女性蔑視」ともとれる内ゲバが発覚したのだった。
●3期連続トップ当選でも非公認?
この日、東京都庁で大津ひろ子民主党都議会議員(渋谷区選出)が記者会見を開いた。
大津議員は平成15年の補欠選挙で初当選し、現在3期目。過去3回の選挙はいずれもトップ当選している。渋谷区支部長のほか、厚生委員会委員長の肩書きも持っている。
その大津議員が会見に臨んだ理由を要約すると、次のようになる。
「この1年間、色々な理由により民主党“公認”が棚上げにされた挙げ句、現職にもかかわらず“公認”を外された。その過程では、いくつもの不透明な出来事があった。現在公認再申請、推薦申請をしている。現状では、党籍は民主党にあるが、無所属で出馬せざるを得ない」
大津都議が自分の「非公認」を知ったのは、5月8日の新聞報道だったという。たまたま朝刊を全紙チェックしないまま議会に向かった都議は、控え室に入った瞬間、他議員から一斉に注がれる「憐れみの視線」を感じたという。
大津都議はその日のことをこう振り返る。
「いつもはいくつもの会派に分かれているのが、その時だけ一致団結しているような不思議な空気が流れていた」
そして、朝日新聞と毎日新聞に掲載されている自らの非公認記事を目にしたのだった。
●長妻の不可解な行動
もちろん、予兆はあった。
2月25日、渋谷区支部常任幹事会は、大津都議の公認申請に関して採決を行い、参加者の過半数をもって可決していた。
さらに、公認候補の選定基準として区市町村議員団(7人)の3分の1以上の推薦を得る必要があったのだが、その後協議の場で2名は署名したが、5名はかたくなに署名を拒否し、お互いがお互いを「除名しろ」と罵り合う事態となる。
その上、東京7区(渋谷区、中野区)総支部長で民主党幹事長代行の長妻昭議員までも、「待った」をかけた。3月に長妻議員が、
「大津さんについては審議中。しかし、大津さんは推薦を確保していない。浜田(ひろき)さんの公認申請について審議しましょう。どうでしょう。書面は3人以上揃っているので、浜田さんで」