1月22日から23日にかけて関東の広い地域で降雪があり、東京都では4年ぶりとなる大雪警報が発令された。都心でも23センチもの積雪が観測され、この雪が原因とみられる交通事故は806件に上り、立ち往生の自動車による通行止めも報告されている。
東京都道路交通規則によると、「積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路において、自動車又は原動機付自転車を運転するときは、タイヤチェーンを取り付ける等してすべり止めの措置を講ずること」とあり、雪道を走行する際にはスタッドレスタイヤやタイヤチェーンの装着が義務づけられている。
今回の降雪では上記の通り多くの交通被害が出ており、事故や立ち往生に見舞われたドライバーのなかには、タイヤへの防滑措置を怠っていたドライバーも少なくなかったと予想される。だが、警察による取り締まりが行われたという話は聞こえてこない。
そこで、特に降雪量が多かった22日に取り締まりが行われていなかった点の事実確認をするとともに、その理由について都内某署勤務の警察官に聞いた。
1月22日の降雪時、取り締まりは行われていなかった
「各警察署によって対応は違うので一概には言えないのですが、今のところ22日にタイヤにチェーンをしていなかったり、スタッドレスタイヤに履き替えていなかったりしたことが理由での取り締まりは聞いておりません」(都内某署勤務・警察官)
本来、積雪時や道路の凍結時にノーマルタイヤでの走行が確認された場合、交通違反の点数はないものの、車種によって大型7000円、普通・自動二輪6000円、原付5000円の反則金が適用される。こういった罰則を科さなかった理由を、同警察官は次のように語る。
「東京都道路交通規則にある『積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路』の判断は、あくまでもドライバーが各自でするものです。特に積雪が珍しい東京都では、道路が滑るかどうかを当たり前に全員が判断できるわけではありませんので、取り締まりの線引きが難しいのです」(同)
この警察官が言うように、今回の積雪は例外にせよ、タイヤの防滑措置が必要とされるか否か、道路の状況を適切に把握しにくい都民からすると、いきなりの取り締まりは理不尽に感じることもあるだろうし、トラブルの元にもなりかねない。