取り締まりよりも交通整備を優先
それと同時に、「タイヤチェーン等の装着が必要かどうかの判断が難しいときもあるとはいえ、22日は常識的に見て、明らかにタイヤへの防滑措置が必要な状況だったと思います」とも語る。ではなぜ、22日はノーマルタイヤでの走行が理由とみられる交通事故や立ち往生といった交通トラブルを起こしたドライバーを取り締まらなかったのだろうか。
「いくら大雪時にノーマルタイヤで走行していたからといっても、すでに交通事故や立ち往生が起きてしまってからでは、取り締まりよりもその状況に対する処置が優先されます。22日は事故車を側道に誘導して後続車の渋滞を防ぎ、道路を回復させることに重点を置いておりました。
交通事故や立ち往生で周囲の自動車に迷惑がかかるなか、取り締まりを行うことで『今はそんな場合ではないだろう』といった意見が出る可能性もあると判断したためです」(同)
確かに、慣れない雪道を走行するなか、前方で交通事故が起こった場合、一刻も早くその状況を「なんとかしてほしい」と思うのが正直なところかもしれない。しかし、事故車を側道に誘導した後にノーマルタイヤで走行したことに対する取り締まりを行うことも可能であり、事故を起こしたドライバーが同じ過ちを繰り返さないための教訓にもなるのではないだろうか。
この疑問に対しての明確な回答は得られなかったが、「降雪量が多く、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンの装着が当たり前に行われている北海道や北陸地方では、ノーマルタイヤへの取り締まりも厳しく行われていると聞きます」(同)という。
積雪時にノーマルタイヤでの走行が危険であることは今回の事故数が物語っているが、都内での積雪が珍しいこともあり、警察の一貫した取り締まりは行われておらず、“現場の判断”に任されているというのが実態のようだ。
今週、2月1日から2日にかけて、幅広い範囲で雪が降る可能性があるという。事故を未然に防ぐために、チェーン等を常備しておきたい。
(文=A4studio)