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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

人類の終末に備える種子バンク、水没の危機…食糧生産支配で莫大な利益狙う多国籍組織

文=浜田和幸/国際政治経済学者
人類の終末に備える種子バンク、水没の危機…食糧生産支配で莫大な利益狙う多国籍組織の画像1種子バンクに保存されている種子(「Wikipedia」より/Calliopejen1)

 今年もバレンタインデーが終わった。チョコレートメーカーにとっては最大の稼ぎ時である。しかし、今年の年明け早々、チョコレートファンにとっては聞き捨てならないニュースが飛び込んできた。なんと、アメリカの海洋大気協会(NCAA)の調査報告書によれば、「チョコレートの原材料であるカカオが絶滅の危機に瀕している。このままでは30年以内にカカオは地上から消滅する」とのこと。

 要は、2050年までにチョコレートが食べられなくなるという。どうやら、その答えは米国のトランプ大統領が認めたがらない「地球温暖化」にあるようだ。実は、カカオは中米の旧インカ帝国が原産地であり、医療や延命効果もある「神々の食べ物」と称され、2000年もの歴史を持っている。ブラジルやペルーでも収穫されるが、現在、世界のカカオの半分以上がアフリカのコートジボワールとガーナの2カ国で生産されている。

 ところが、近年の温暖化の影響で、赤道付近では雨量の減少が著しく、カカオの育成に異常が見られるようになった。加えて、新たな害虫や病原菌が次々と発生しており、チョコレートの原料が安定的に供給されにくくなってきたというのである。コスタリカではカカオの輸出量が96%も低下してしまった。

 チョコレートメーカーにとっては由々しき事態といえよう。何しろ、欧米はもちろん最近では中国を筆頭に、インド、インドネシア、ブラジル、ロシアなど巨大な消費地においてチョコレートの需要はうなぎ上り。従来の農法では需要に追いつかず、今後は年間10万トンのチョコレートが不足するとの予測も出ていたからだ。

 特に日本では年々10%近い勢いでチョコレートの売り上げが伸びている。しかも、義理チョコや本命チョコではなく、自分用に高価なチョコを買うのが最近の傾向である。松屋銀座店での調査によれば、自分用のご褒美チョコの予算は前年比14%増の4000円で、本命チョコ用の3400円を上回ったという。平均すると、バレンタインデー用に1万円程度のチョコを買う女性が圧倒的らしい。

 その背景には「チョコレートが美容と健康、そして記憶力の向上や長寿に効果がある」との見方が広まったことがある。いずれにしても、原材料のカカオが消滅してはお手上げだ。そこで、世界最大のチョコレートメーカーのマーズは米カリフォルニア州立大学に10億ドルの資金提供を行い、水不足や害虫に強い遺伝子組み換えカカオの研究開発を依頼。果たして、最新のDNA操作技術によって、間近に迫った「チョコレート危機」を救えるのだろうか。

浜田和幸/国際政治経済学者

浜田和幸/国際政治経済学者

国際政治経済学者。前参議院議員、元総務大臣・外務大臣政務官。2020東京オリンピック招致委員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士

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