4月18日夜、女性記者へのセクハラ発言疑惑に揺れる財務省の福田淳一事務次官が辞任を表明した。その後、同日に放送された『報道ステーション』(テレビ朝日系)がセクハラ被害を受けたのはテレビ朝日の記者であることを公表したが、「女性の訴えを握り潰して取材に行かせておいて、『当社社員が被害者』という発言に違和感」「会社に報告したのに、他社に情報を流さざるを得なかったことはテレ朝の責任も大きい」といったテレ朝への非難の声が多数上がるなど、物議を醸している。
テレ朝は19日未明に緊急会見を開き、「当社社員に対するセクハラ行為があったのは事実だと考えております」と発表。さらに「当社は福田氏による当社社員を傷つける数々の行為と、その後の対応について財務省へ正式に抗議をする予定です」と、今後の対応についての考えを明らかにした。
またテレ朝は経緯について、「女性社員と福田氏は1年ほど前から数回にわたって取材目的で1対1の会食をしていたが、そのたびにセクハラ発言があったので、自分の身を守るため会話の録音を始めた」と説明。女性社員は「セクハラの事実を報じるべきだ」と上司に相談したが、二次被害が及ぶ恐れがあることなどを理由に「報道は難しい」と言われたため、「週刊新潮」(新潮社)の取材を受けたという。
この対応について、テレ朝の篠塚浩報道局長は「当社の社員からセクハラの情報があったにもかかわらず、適切な対応ができなかったことに関しては深く反省しております」とコメントした。
しかし、セクハラを隠そうとしたテレ朝に対してインターネット上では、次のような声が上がっている。
「テレ朝のコンプライアンスはどうなっているのか」
「セクハラは許せないが、セクハラを承知の上でずっと取材させていたということは、まずはテレ朝のパワハラが問題」
「女性記者は自社のパワハラと財務省のセクハラの間で大変だっただろうな」
「セクハラを握りつぶした上司の情報が一切出ていないが、テレ朝は誰も責任をとらないつもり?」
「セクハラを放置したテレ朝の社長が、どういう責任を取るのか観察させてもらいます」
辞意を表明した福田氏は19日朝、報道陣に対して「テレ朝がどういう調査をされたか知らんけど、全体としてみるとそういうこと(セクハラ)ではない」と、あらためてセクハラ疑惑について否定した。
12日に発売された「週刊新潮」が疑惑を報じてから1週間で怒涛の流れを見せた今回の騒動に、ネット上では福田氏の対応や報道を疑問視する声もある。
「福田次官にセクハラがあった場合は当然処分されるべきとして、テレ朝の責任も追及しないといけない」
「セクハラしたならすぐ辞めるべきだったし、やっていないならどれだけ叩かれても辞めちゃダメでしょ」
「セクハラがあったにしろ無かったにしろ、最近の報道はリンチに近いと感じる」
「財務省は被害者が出てこないと思ったのだろうか。論点がブレてウヤムヤになりそう」
麻生太郎財務相は19日昼頃、G20へ出席するためアメリカへ出発したが、今後この問題についてどのように対処するかが注目される。
(文=編集部)