4月24日に行われた閣議によって、セクハラ疑惑が取り沙汰されている財務省の福田淳一事務次官の辞任が了承された。これに伴い、福田氏には満額で約5300万円の退職金が支払われる可能性があるという。
麻生太郎財務大臣は閣議終了後の記者会見で「事務次官がセクハラ疑惑で辞任することになったのは、はなはだ遺憾」と語り、退職金については今後の調査結果を踏まえて「懲戒処分に相当すると判断された場合、その処分に相当する金額を退職金から差し引くとして、当面は退職金の支払いを留保する」と明らかにした。
この判断に、インターネット上では「普通なら懲戒免職で、退職金なんかないだろ」「せめて受け取りを辞退すべき」「どうせ、ほとぼりが冷めたら天下りするんだろう」などと、さまざまな反応が見られる。
また、財務省に対しても「事実上の更迭なのに5300万円あげるの?」「留保? 中止じゃなく?」「一般企業と財務省の感覚の違いを見せつけられた」と疑問視する声があがっている。
そもそも、福田氏の退職金が満額となる可能性があるのは、本人がセクハラについて認めていないからだ。福田氏は「週刊新潮」(新潮社)が報じた女性記者に対するセクハラ発言などについて一貫して否認しており、辞任を表明した際も「現在の状況では職務を果たせない」という理由からだった。そのため、野党からは処分を下す前に自己都合による退職を認めないよう財務省に要求していたが、同省および福田氏は「逃げ切った」かたちだ。
また、3月に辞任した佐川宣寿前国税庁長官の退職金が約4933万円と報じられたことも記憶に新しい。佐川氏の場合は減給20%、3カ月の懲戒処分を受けており、退職金が満額の約4999万円から約66万円減額された。佐川氏は、森友学園をめぐる決裁文書改ざん問題で当時の理財局長を務めており、このときも「公文書改ざんなら犯罪なのに、高すぎる」との批判が相次いだ。
今回の福田氏と佐川氏の退職金を単純に合計すれば、1億円以上が税金から支払われることになる。そのため、ネット上では納得いかない国民から「納税する気がなくなる」「そんな金があるなら、消費税上げるなよ」「公文書改ざんして、夜な夜なセクハラ発言して、そんな2人に国民から1億円プレゼントかよ」といった不満の声があがっている。
23日、立憲民主党の蓮舫参議院議員は福田氏の辞任と退職金について、「正当な対価ならば支給されるべきだが、本人がセクハラを認めず、省内のセクハラ調査結果もまだ出ない明日に福田氏の辞任を閣議で認めるべきではない。然るべき処分が先だ」とツイッターで述べていた。
一方で、ネット上には「真相が明らかになるまで留保するのは妥当な判断」「まだ疑惑の段階だし、本人が否定している以上はやむを得ない」といった声もあがっている。
佐川氏は大阪地方検察庁特別捜査部から任意で事情聴取を受け、周囲に改ざんへの関与を認めているといい、財務省の権威は地に落ちる一方だ。トップである麻生財務相は、自らの進退について「考えていない」としているが、一連の騒動はどのような決着を見せるのだろうか。
(文=編集部)