2016年10月に神戸市垂水区で起こった市立中学女子生徒の自殺をめぐり、市教育委員会の首席指導主事が学校側に隠蔽を指示していたと判明。教職員が女子生徒の友人から聞きとったメモを「事務処理が煩雑になる」という理由から隠蔽した事実に対し、インターネット上では批判が広がっている。
市教委が委託した弁護士の調査によると、自殺の起きた5日後には教職員が生徒から聞きとった内容を元にメモを作成。メモには女子生徒が他の生徒から言われていた悪口や生徒間の関係のほか、「いじめ」という記述も見られ、校内の教職員だけでなく市教委職員とも共有していたという。しかし、遺族が調査報告書を開示請求した際には聞きとりの内容が報告書に記載されておらず、17年2月には遺族からの質問書が市教委へ提出されていた。
市教委の首席指導主事は、メモの存在を明かせば情報開示請求が再度行われて「事務処理が煩雑になる」と判断。聞きとり内容はいじめの有無を調査する第三者委員会に伝わっているとして、当時の校長にメモの隠蔽を指示した。指示を受けた校長も「遺族感情を揺さぶりたくない」といった理由から、聞き取り調査のメモは存在しないと遺族に回答している。
メモの存在を把握しながら数カ月放置したうえ隠蔽工作まで行っていた市教委に対し、ネット上では批判が続出。「人が死んだことより、事務処理のほうが大切なのか…」「いじめを隠蔽してもなんの解決にもならないって、わからないのかな」「人の命を軽視し過ぎていると思う」「いじめも最低だけど、それを教育委員会が隠蔽するっていうのがおかしい」「この件にかかわってる市教委職員は全員クビにするべき」といった声が多数見られた。
また首席指導主事の指示に従った学校側に対しても、「いくら上から言われたとはいえ、この対応は異常」「学校ぐるみでいじめを隠蔽してたなら、本当に最悪」「教育者としてというか、人間として恥ずかしくならないのか」「こんな環境に自分の子どもを通わせたくありません」など批難の声が相次いでいる。
さらに6月4日放送の『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日系)では、ジャーナリスト・大谷昭宏氏が今回の隠蔽問題に関してコメント。「子どもたちに道徳教育を義務化する前に、この国の大人たちがもういっぺん一から道徳教育をやり直そうと、その上で子どもたちに道徳を教えたらどうですか」と痛烈に批判した。
果たして、隠蔽されていたのはメモだけだったのだろうか。
(文=編集部)