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「総合的に前進した」という米朝首脳会談は、アメリカにとっては11月の中間選挙対策であり、北朝鮮にとっては、やはり時間稼ぎと中国との関係性構築という意味合いが大きい。唯一、「制裁を続ける」というアメリカの姿勢だけが歯止めとなる要素ではないか。
今回の米朝首脳会談に大きな期待を抱いた人にとって、失望の谷は深い。一方、あまり期待しなかった人にとっては、「なんとか一歩前進した」というのが率直な感想だろう。
アメリカメディアは、次のように消極的な評価を下している。
「歴史的に米朝が『初の会談』という意議以外に何もない」(ニューヨーク・タイムズ)
「希望を抱かせたが、保証がない」(ワシントン・ポスト)
「希望に向けての前進」(ウォール・ストリート・ジャーナル)
しかし、トランプは記者会見で「人権に言及した」「日本の拉致問題についてはちゃんと伝えた」と言い訳に終始し、いつものような強気の姿勢は見られなかった。その上、将来的な在韓米軍の縮小や撤退を示唆した。これでは、過去の歴代大統領が行ってきた、場当たり的な人気取りの対応と大きな違いはない。
米朝首脳会談、最大の勝者は中国か
この米朝首脳会談で一番の勝者となったのは、中国である。おそらく、中国は「米朝関係に前進があった」として制裁緩和の方向に走り出すだろう。そもそも、会談前に「中国抜きでは何も進まない」と国際社会に印象づけることに成功し、金正恩の背後でシナリオを描き、結果的にトランプの在韓米軍撤退発言を誘発した。
米朝首脳会談が行われた12日、東京・上野動物園のパンダが誕生1周年ということで、長い長い行列ができていた。パンダはチベットの動物であり、中国が外交の道具としているものだ。それを行列をつくって見るという日本人の行為は、中国を利することになりはしないだろうか。
(文=宮崎正弘/評論家、ジャーナリスト)
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