築地市場の豊洲移転で仲卸業者の廃業が続出か
「東卸の『決議』は、仲卸のみなさんが追認すれば有効になります。追認を拒絶すれば無効。どちらもしなければ、曖昧な状態が続きます。この状態のまま既成事実を積み重ね、仲卸にはあきらめてもらう。これが都の魂胆でしょう」(同)
築営はこの日、小池百合子・東京都知事に対し、公開質問状を提出した。質問の柱は3つ。(1)仲卸業者は営業権を持つ、(2)東卸総代会「決議」が無効である――さらには、(3)東卸の定款の違法性の確認である。東卸の根拠法は中小企業等協同組合法だが、東卸の定款には同法との相違点が少なくない。
「こんな違法な定款が数十年もまかり通っていたこと自体がおかしい。知事により認可されたことも不可思議」(同)
だが、築営組合員に東卸脱退の意思はない。
「何も悪い団体だとは思っておりません。改正すべきところを改正していけばいい」(村木氏)
一方、築営発足は波紋を呼んでいる。
「関心はすごく高い。たちまちのうちに100名単位の加入を見込める感触」(中澤氏)
公開質問状の回答期限は7月6日。村木氏は「黙殺しないでほしい。我々とは相違はあるかもしれないけれども、きちっとした誠意ある回答をいただきたい」と力を込めた。
築営は移転について正式な意思決定を目指す。それには「仲卸業者すべての同意」が不可欠だ。
豊洲市場には、施設の不備や安全性、交通など数々の問題点が各方面から指摘されている。それでも、都は粛々と実務作業を進めている。7月中に土壌汚染対策の追加工事を終える予定だ。会見場では、「移転ありき」で築営の主張に疑問を投げかける都庁記者クラブ加盟メディアとの「温度差」もあらためて浮き彫りとなった。
今年10月11日に設定された移転の現実味にも、疑問が呈されている。豊洲移転が実現すれば廃業を余儀なくされる仲卸業者が続出、との読みもある。小池都知事の舵取りはいかに。
(文=片田直久/フリーライター)