収賄容疑の文科省局長、「架空の便宜」を利用し東京医科大に息子を不正入学させた可能性
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
7月6日のオウム真理教事件をめぐる死刑囚7人の死刑執行には驚きました。一方で、上川陽子法務大臣の記者会見では記者たちが相当イライラしたようです。上川法相は秘書官が差し出すメモを見ないと答えられない上、メモを見てから2~3分後にやっと口を開くという感じだったからです。そんな対応では、法相としての資質を問われても仕方ないのではないでしょうか。
個人的には、3日に明らかになった文部科学省の汚職のほうが驚きました。前科学技術・学術政策局局長の佐野太容疑者が逮捕された事件です。
この日、衆議院には少しだけのんびりした雰囲気が漂っていました。法案審議が一段落し、“主戦場”が参議院に移ったからです。あとは、衆議院ではいくつかの委員会で一般質疑が行われるくらいです。
その「質問取り」のために議員会館に来ていた各省庁の国会連絡室のイケメンくんたちを、国会女子たちがからかう余裕もありました。質問取りとは、「国会で、各省庁の担当者が質問をする国会議員にあらかじめ内容を聞いておき、それに対する答弁書を作成すること」という国会用語ですが、今やインターネットの「デジタル大辞泉」にも掲載されています。
超エリートの佐野容疑者をめぐる“噂”
「なんか、やっと落ち着いて仕事できるようになったんじゃない? 顔が明るいよ~」
ランチタイムくらいまでは、こんな感じで文科省のイケメンくんと他愛もない話をしていました。
「いやぁ、やっとプライベートの時間も取れるようになったんで」
「なになに? プライベートって」
「神澤さん、独身男性のプライベートっていったら、あれしかないでしょ(笑)」
一方、財務省のイケメンくんに対しては、かける言葉もねぎらいムードとなります。
「とばっちりで大変だったんじゃない?」
「そうなんです、なかなか本来の仕事ができなくて……。まだ大変なんですよ、僕たちは」
「ほんと、お疲れさま。閉会になったら暑気払いしましょうね~」
こんな話をしていたら、「文科省の局長逮捕」という速報が飛び込んできて、永田町は騒然としました。実は、この日は朝から文科省の部局に検察の強制捜査が入っていたそうです。
また、文科省の上層部には「佐野局長が検察から家宅捜索を受けている」という情報が早い段階で伝えられていたようです。さらに、佐野容疑者自身も逮捕されることを予測していたとみられ、この日は自主的に自宅待機、つまり休暇を取って自宅で検察の“お迎え”を待っていたそうです。
佐野容疑者は、科学技術・学術政策局局長の前は官房長に就いていました。与野党を問わず議員との懇親も深めていて、うまく付き合っている印象がありました。「次の事務次官候補」ともいわれていたほどです。
そんな超エリートのイメージからは想像もつかない今回の汚職には、国会内でも驚きの声があがっていました。佐野容疑者は見た目もエリートですが、小杉隆元文部大臣の娘婿にあたり、姻族もエリートなのです。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。