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日本体操界を私物化する塚原夫婦の卑劣な行為…偏向採点、朝日生命への選手引き抜き

文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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 さらに宮川選手が「家族も先生(=速見コーチ)を信頼して一緒にやっていく」と言うと、千恵子氏から「どうかしている。宗教みたい」「あのコーチはだめ、私なら100倍よく教えられるわ」などと言われ、「大きい声で高圧的。恐怖を感じて怯えていました」とも訴えた。

 ちなみに会見で宮川選手は、2016年12月に千恵子氏から電話を受け、「“ニイマル・ニイマル”に申し込まないと、オリンピックに出られなくなるわよ」と言われことも明かした。“ニイマル・ニイマル”とは体操協会が指定する「2020年東京五輪特別強化選手」のこと。宮川選手は会見で「代表、ナショナル選手を追い抜いて海外派遣を受けたりできる、ナショナル選手より上の立ち位置で優遇される」「トライアウトを受けて、強化本部長(千恵子氏)の許可を受けたらなれるが、すごく不透明なところがある」と語り、さらに「(2020年東京五輪特別強化選手に入ることが)千恵子氏が監督を務める朝日生命に入ることにつながる」と説明した。特別強化選手は、千恵子氏の意のままになる朝日生命中心の指導組織。欲しい選手についている従来の指導者を排除するために編み出したとしか思えない。
 

FAXで真っ向から反論

 一方、「これでは言ったもん勝ち。黙ってはいないわよ」「暴力問題をパワハラにスリ替えられた」などとスポーツ紙の取材で猛烈に反論していた千恵子氏は31日昼頃、夫と連名で5枚におよぶ反論FAXをマスコミ各社に送った。そのなかで「『あのコーチがダメ』とは言いましたが、私が『100倍よく教えられる』とは言っておらず、このような発言をした事実はありません」としている。しかし、そんな特徴的な言葉を宮川選手が捏造して言うだろうか。印象的だったから覚えていたのだろう。また宮川選手のその他の発言についても、こう釈明している。

「宮川選手に対して『家族も暴力を認めているの?』と確認したところ『家族もコーチの暴力を認めている』と言っていたため、思わず、たとえとして『宗教みたい』とは言ってしまいました」

「宮川選手が、私の付き人から朝日生命体操クラブへの加入を勧められたとご主張されておりますが、この点についても真実と異なります」

女帝、復活

 体操界に君臨する塚原夫婦。光男氏は「月面宙返り」の大技でミュンヘン五輪(1972年)など五輪3大会で金メダルを取った。千恵子氏もメキシコ五輪(1968年)の団体女子の入賞時のメンバー。だが指導者となったこの夫婦、問題が取り沙汰されるのは今に始まったことではない。

 有名なのは1991年の全日本選手権。塚原夫妻が指導する朝日生命体操クラブの所属選手ばかりに極端に高得点が与えられ、それ以外の選手は勝てなかった。これに怒った各チームの監督・コーチらが選手引き上げを決め、参加選手の半数以上の55人が大会をボイコットする前代未聞の事態になった。この時のナショナル強化部長が千恵子氏で、審判員全員が朝日生命OBだった。問題化したため千恵子氏と、競技委員長だった光男氏は辞任し、夫婦はしばらく一線から消えた。

 ところが後年、朝日生命所属選手の活躍、さらに息子の直也選手が世界で活躍したことなどを受けて復活。協会内で大きな権力を握るに至った。現在、光男氏は協会副会長、「女帝」と呼ばれる千恵子氏は北京、ロンドン、リオと五輪3大会連続で女子代表の監督で、東京五輪まで務めることになっていた。

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