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参院選“注目”当選者、渡邉美樹と山本太郎に公選法違反の疑惑浮上…投票勧誘めぐり

文=blueprint

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参院選“注目”当選者、渡邉美樹と山本太郎に公選法違反の疑惑浮上…投票勧誘めぐりの画像1DVD『社長 渡邉美樹』(ポニーキャニオン)

 大方の予想通り、自民党の大勝に終わった7月21日投開票の参議院議員選挙。ねじれ国会の解消、決められる政治、その反面の強引な国会運営や“右傾化”への懸念など、この1カ月で定着した論点で選挙結果が振り返られているなかで、インターネットを中心にふたりの新人議員が注目を集めている。ワタミグループの創業者で自民党公認の渡邉美樹氏(比例区)と、脱原発を旗印にした元俳優・山本太郎氏(東京選挙区)だ。

 渡邉氏については、出馬表明時から「自民党はブラック企業の社長を公認するのか」と批判が集中。6月28日には自民党本部前で公認撤回のデモ活動が実施された。2008年にワタミで起こった社員過労死事件の被害者・森美菜さんの両親が、自民党議員に要望書を手渡そうとするも門前払いを受けそうになるなど、自民党の対応にも注目が集まっていた。

 6月22日付の日刊ゲンダイ記事にコメントを寄せた政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、ワタミが従業員に配布する理念集に書かれた「365日24時間死ぬまで働け」のフレーズを受けつつ、次のように“厳しい現実”を指摘している。

「民間人である選挙中は、世間のブラック企業批判にも“立て板に水”でいられましたが、これからは国会の場に引きずり出されます。渡邉氏が議員バッジをつけている限り、本人も自民党も野党の攻撃と質問にさらされるでしょう。街中で目撃されようものなら、『もう帰るんですか?』なんて言われかねません。針のムシロになるのではないか」

 また、7月4日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が、6月10日前後、ワタミの各事務所に届けられた渡邉氏からの「ビデオレター」の存在を告発。インターネット上に公開されたビデオレターの内容はというと、渡邉氏が自民党の公認で参院選に出馬することを伝え、「ぜひ応援をしてもらいたい」というもの。

 公職選挙法129条により、公示前の投票の勧誘などの「事前運動」は禁止されており、同誌の取材に対し、政治学者の岩井奉信日大教授は「『参院選』、『ぜひ応援してもらいたい』と語っていますから、今回の参院選の支援依頼とみなされます。違反行為であったことは間違いない」と指摘している。現在まで、警察当局にこれをとがめる動きは見られないが、この点も、反対派による批判の論拠になっていきそうだ。

 一方、「反原発」を掲げて選挙戦に臨んだ元俳優・山本太郎氏にも同様に、政治家として不適格だ、公職選挙法違反があったのではないか、という批判がある。

 福島第一原発事故による放射能問題で、たびたび過激な発言をし、ネット上でも「デマを拡散するな」と指摘され、被災地である相馬市市長からも「根拠のない、過激な発言が、福島の人々をどれほど深く傷つけているか知ってほしい」と釘を刺されていた山本氏。中核派との関係が取り沙汰されるなど、ネット上で“要注意人物”と目されていた。

 また、7月19日付朝日新聞記事は、山本氏の陣営が同日、選挙運動に関するメールを受信する意思を確認せず送信し、公職選挙法に抵触する恐れがあったことを報じている。さらに、22日配信のJ-CASTニュース記事によれば、20日の23時ごろ、渋谷ハチ公前広場周辺に山本氏のノボリが立ち、ビラを配る人がたくさんいたとツイートが複数あったという。

 公選法では、選挙運動用のビラは選挙管理委員会の証書を付けなければならず、配布できる場所も限定されている。ビラ配りが認められる「街頭演説」は20時までしかできないと規定されており、これが事実であれば問題になる。さらに、選挙期日中には事務所内の様子をネット中継し、スタッフと思しき人物が「現在、僅差で6位」「知り合いだったら選挙に行くよう呼びかけて」とコメントしたが、これも“選挙運動”と見なされれば、公選法に抵触する可能性がある。

 山本氏の当選に議論が紛糾するなかで、個人投資家のやまもといちろう氏は、22日に自身のブログで次のようにコメントしている。

「今後、年齢別投票結果が出てくればすぐわかることではありますが、山本太郎さんに関しては反原発を旗頭に抱えて強い熱意と目標意識を持った候補者ではあるものの政策への評価というよりも知名度や好感度によって支えられたタレント候補の領域から出ていないことは予想がつきます」

 渡邉氏には経営者としての経験を生かした財政再建への尽力、山本氏には選挙戦で自民党との明確な対立軸をつくれなかった旧来の野党に代わる役割も期待されている。しかし、不用意な言動やミスがあれば、選挙前から厳しい目が向けられてきた経緯とともに、公選法違反疑惑がアキレス腱となり、あっという間に批判が高まることも考えられる。“針のムシロ”を歩むふたりの新人議員は、国政の場でどんな仕事を見せてくれるだろうか。
(文=blueprint)

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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