さらに巧妙化する悪質商法
“三種の神器“は近年、さらなる進化を遂げており、優良誤認や有利誤認で摘発されないよう、表現に磨きをかけたダイエット業者が続々と誕生している。
こうした悪質ダイエット業者は、新手の方法を編み出している。ここ数年、トレンドなのが次の3つだ。
まずは、「悪質な定期購入」。定期購入自体は、なんら問題のない販売方法だが、それに付随する次の手法が問題なのだ。
・定期購入だと気づきにくい売り方:「初回お試し300円!」などの表記例
・複数回受け取るまでは解約できない縛り:実際は4回まで解約できず、翌月からは5000円など。
・解約条件が異常に厳しい
定期購入をさせる際、これらの手法を組み合わせる。批判を避けるため、ウェブサイトには注意が記されているが、「見づらい」「気づきにくい」「理解しにくい」ようになっている。
次に「芸能人の勝手な利用」。芸能人と契約して宣伝するステマよりも悪質だ。許可なく芸能人の名前を勝手に用いて宣伝するという蛮行である。
最後に「商品名変更」。最近は減少傾向にあるが、数年前に流行した手口だ。商品名Aの悪評が知れ渡ると、商品名Bで広告宣伝する。Bの悪評が広まると、さらに別名Cを名乗り宣伝販売を続ける――という具合だ。ひとつの悪徳商品で荒稼ぎする商法だ。
福田代表は「長年、悪質なダイエット業者の動向を観測してきましたが、彼らは悪質な手法を編み出すことに対して、とても“勤勉”です。新手の騙し方を生み出す企画力は、『よくこんな方法が思いついたな』と驚くほど」と、舌を巻く。
そして、「専門家顔負けに購入データを分析してPDCAサイクルを回し、さらに騙しのテクニックを洗練させしていくのです」と福田代表は警鐘を鳴らす。
新しい法律や規制は次々とつくられるが、悪質な業者も抜け道を探して模索しており、規制だけで取り締まることは不可能だ。購入者側がリテラシーを養い、「痩せる云々」などの心地よい謳い文句に釣られず、根拠薄弱な商品には慎重な態度で臨むことが、悪質ダイエット商品撲滅の近道かもしれない。
(文=福田尚広/株式会社T.M.Community 代表)
福田尚広
株式会社T.M.Community 代表。北海道大学農学部を卒業後、オージス総研に就職。金融システムなどにプログラマーとして携わったのち、独立してさまざまなWebサービスを立ち上げる。現在、日本最大級のダイエット口コミサイト「ダイエットカフェ」を運営中。ダイエット商材に関する光と闇、人気の商品の傾向、口コミサイト運営などに詳しい。
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