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慈恵医大の闇を関係者が内部告発(前編)…週刊誌からも叩かれた理事長ワンマン体制の歪み

文=兜森衛
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患者離れが顕著で手術件数は大幅に減少

 昨年12月27日に開催された理事会議事録抄録には、以下の記述を確認できる。

(1)定例理事会終了後、新理事会メンバーによる新理事会を開催し、寄付行為第6条第6号理事(学識経験者)に栗原敏氏、谷口郁夫氏、前田新造氏の3名が推薦され、投票の結果、承認された。任期:2019年4月1日~2022年3月31日
(2)松藤仮議長より、寄付行為第5条により学長は在職中理事長となるが、学長業務に専念したいため、寄付行為第5条第3項により栗原敏氏(現理事長)を推薦したいとの提案があり、投票の結果、承認された。任期:2019年4月1日~2022年3月31日
(3)栗原新理事長より専務理事候補者として谷口郁夫氏が推薦され、投票の結果、承認された。任期:2019年4月1日~2022年3月31日

 2017年度の医療収入トップは順天堂で1400億円超。慈恵は2位だが1000億円に届かなかった。2017年度の全国29私立医科大学付属病院の医療収入の平均伸び率は3.6%に対し、慈恵は2.9%。慈恵医大の医療収入の伸び率は2008~2012年度が本院4.5%、4病院(本院、葛飾医療センター、第3病院、柏病院)連結で4.5%だったが、2013~2017年度は本院0.5%、4病院連結で1.6%まで低下しており、職員向けの理事長の講演資料では、その原因を次のように分析している。

「大学付属病院(以下4病院)の総医療収入は、全国29私立医科大学付属病院のなかで第2位であるが、平成25年度以降は医療収入の伸びが鈍化し、第1位との差が広がり、第3位との差が縮まる傾向にある。平成23年度以前は、4病院の総医療収入の伸び率は高く、これを本院が牽引してきた。一方、平成24年度以降は、とくに本院が低迷している。この間、各分院、とくに葛飾、柏病院の医療収入の伸びにより、4病院全体としてなんとか最低限の目標(1.6%成長)を達成している。本院の医療収入が伸びない原因は、手術件数の減少にあり、それを補うだけの非手術(内科的)患者さんの増加がなかったことによる」

 本院の手術件数を見ると、2011年度が最高で15423件だったが、2017年度には13973件まで10%も減少したことがわかる。しかし、学校法人慈恵大学は財務分析を見る限りではきわめて健全といえる。2018年3月期の自己資本比率69.5%、流動比率348.2%、固定比率99.3%はかなりいい数字だからである。しかし、告発者の舌鋒は衰えない……。
(文=兜森衛)

※後編に続く

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