それでは卒業生のうち、どのくらいの比率が東大に合格するのか。結果はトップが開成で4割超、続く灘、栄光学園、聖光学院、桜蔭までが3割を超えた。順位については合格者数のランキングと、さほど代り映えはしないものの、トップクラス校の合格率は合格者数と比較すると、かなり拮抗していることはわかる(過去の実績から筑波大付属駒場が合格率では開成をしのぐ公算は高い)。
さらに男女比を考慮して試算してみよう。東大の合格者数は例年、概ね男子8割、女子2割で推移している。畢竟、合格者数では男子校のほうが有利になり、女子校や共学校は割を食うかたちになる。各校卒業生の男女比から修正を加えると、断然の首位は女子のトップ進学校として知られる桜蔭になった。同じく新御三家の豊島岡や、筑波大附属、学芸大附属、日比谷など共学校が10傑入りしている。
規模や性差を勘案したランキングからいえそうなのは、一般に強く信じられている、開成一強のイメージが薄らぐことだろう。トップクラスの進学校は、それぞれ優れた資質を持つ一群の生徒を擁しており、開成に匹敵する、さらには凌駕するような進学実績を有している。このあたりは単なる合格者数の羅列だけでは読み取れないところだ。
(文=島野清志/評論家)
【東大合格率ランキング】
(1)開成0.436、(2)灘0.394、(3)栄光学園0.365、(4)聖光学院0.338、(5)桜蔭0.301、(6)麻布0.297、(7)駒場東邦0.227、(8)渋谷教育学園幕張0.191、(9)ラ・サール0.172、(10)武蔵0.169、(11)久留米大附設0.165、(12)筑波大附属0.151、(13)日比谷0.1454、(14)海城0.1453、(15)学芸大附属0.143、(16)浅野0.118、(17)渋谷教育学園渋谷0.114、(18)東大寺学園0.113、(19)早稲田0.110、(20)西大和学園0.106
【各校の規模・男女比を考慮したランキング】
(1)桜蔭2.75、(2)開成1.00、(3)灘0.91、(4)栄光学園0.84、(5)聖光学院0.78、(6)麻布0.68、(7)豊島岡0.63、(8)筑波大附属0.55、(9)学芸大附属0.53、(10)日比谷0.527、(11)駒場東邦0.524、(12)久留米大附設0.50、(13)海城0.47、(14)渋谷教育幕学園張0.442、(15)渋谷教育学園渋谷0.436、(16)ラ・サール0.393、(17)武蔵0.387、(18)旭丘0.34、(19)西大和学園0.29、(20)浅野0.27
※合格者数は「サンデー毎日」(毎日新聞出版/3月24日号)、卒業生数は同誌及び各校ホームページを参照