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駒場東邦と桐朋が狙い目?今年の中学受験、狙い目の有名校、志望者増で難関化の予想校

取材・文=文月/A4studio
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「gettyimages」より

 2月の中学受験本番に向けて、ラストスパートと意気込む受験生とその保護者も多いことだろう。実際、首都圏模試センターによると、中学入試の受験者数は7年連続で増加傾向にあり、2021年の受験率はなんと16.86%にもおよんだという。

 そこで今回は、中学受験の事情に詳しい安田教育研究所代表である安田理氏に、本年度の中学受験の動向、傾向、各学校の難易度について、12月までに行われた模試の結果を基に詳しく話を聞いた。

志望者数を減らしている中学はやはりコロナの影響が大きい?

 はじめに麻布中学開成中学、武蔵中学らいわゆる“御三家”などの有名校、そして、その他の人気校の動向から聞いた。

「麻布中学、開成中学、武蔵中学の男子校御三家のなかでは、武蔵中学が人気ですね。武蔵中学は他2つの学校と比べると偏差値は低いのですが、どの模試を見ても志望者は増えています。また桜蔭中学、女子学院中学、雙葉中学ら“女子校御三家”では女子学院中学が増加中です。ほかにも東京では慶応義塾普通部、吉祥女子中学、横浜(神奈川)ではフェリス女学院中学、洗足学園中学が増えている傾向にあります」(安田氏)

 安田氏は武蔵中学、女子学院中学、フェリス女学院中学といった学校に特に人気が集まる理由について解説する。

「これらの学校は必死に勉強して大学合格を目指すという、いわゆる“がり勉”タイプの生徒が目指す学校ではありません。どちらかといえば生徒の自主性を尊重する学校であり、生徒一人ひとりの主体的な学びに任せる校風です。近年では、このような校風の学校がおしなべて人気ですね」(安田氏)

 続いて志望者数が減っているなどの理由で、入りやすくなるかもしれない“狙い目な有名校”がどこなのかについて教えていただこう。

「女子校では雙葉中学、白百合学園中学、東洋英和女学院中学などの併設小学校がある“お嬢様学校”は、一般のご家庭からすると敷居が高いように感じられるのか、志望者数が減少傾向ですので狙い目でしょう。その次の偏差値帯でいうと、共立女子中学も志望者数を減らしているので狙い目です。

 男子校では、人気があった駒場東邦中学や桐朋中学、サレジオ学院中学が減っています。また世田谷学園中学、浅野中学は昨年度の大学合格実績が良かったのですが、こちらも模試を見る限り数が減っていますね。ですからこれらの学校も、多少受かりやすくなっていると思います。

 付属系の学校では、男子校の学習院中等科や立教池袋中学が狙い目。付属系の学校を目指す人は割と共学を好む傾向にあるため、その点で志望者数を減らしてしまったのだと思いますので、男子にとっては狙い目でしょう」(安田氏)

 また志望者数が減っている学校のなかには、昨年度に引き続き新型コロナウイルスの影響が大きいところがあると安田氏は指摘する。

「昨年度はコロナの感染を恐れて、受験する学校の数を減らしたご家庭が多かったですが、本年度のひとりあたりの受験校数は昨年度よりは上昇傾向にあるようです。ですが、こうした傾向も地域によって大きく差が見られます。

 例えば、千葉県などは昨年に続き志望者数の減少が予想されています。というのも、千葉県は1月20日に入試がスタートしますが、東京都、神奈川県の受験生がその時期に受験して感染してしまえば、続く2月以降の入試に間に合いません。一方、埼玉県は1月10日に試験が開始するので、万が一感染して隔離されても、続く2月以降の東京都、神奈川県の受験日にはなんとか快復し、間に合う率が高くなるので、志望者数の減少幅はそこまでではありませんでした。

 こうした背景もあり、実際に模試の結果を見ると、千葉県の上位校である渋谷教育学園幕張中学、市川中学、東邦大学付属東邦中学などの学校は、昨年度に続いて今年も数を減らしていますね」(安田氏)

中堅校に人気の兆し……中学受験層に変化が訪れているのか

 では、逆に人気が高まっているなどの理由で、入りにくくなってしまうかもしれない学校はどこなのだろうか。

「山脇学園中学や実践女子学園中学、三輪田学園中学、大妻中学、東京女学館中学といった伝統女子校は人気が高まっているので倍率が上がりそうです。というのも、コロナ禍以前では大規模な合同説明会が行われており、そこで初めて学校の魅力に触れて入学を希望するというパターンが多かったのですが、コロナ禍では軒並み中止になっています。そのため、もともと知名度の高かった伝統校に人が流れていったのだと考えられます」(安田氏)

 では、進学校や中堅校と呼ばれる学校の動向はどうか。

「大妻中野中学、田園調布学園中等部、富士見中学、カリタス女子中学といった進学校の人気は高まっています。共学校では広尾学園小石川中学、青稜中学、東京農業大学第一高等学校中等部、関東学院中学、神奈川大学附属中学、光英 VERITAS中学が志望者数を増やしていますね。

 男子校でいうと攻玉社中学、城北中学も人気です。他には獨協中学と日本大学豊山中学の志望者数が増えています。獨協中学は昨年度から午後入試を始めたのが大きいでしょう。日本大学豊山中学は、付属校志向の志望者が多いのと護国寺駅の近くのためアクセスが良く、治安や環境も良いことから親御さんの受験選びの視野に入ってきたのかもしれませんね。

 さらにいえば、日本大学豊山中学は東京の男子校の合同説明会である『東京私立男子中学校フェスタ』の会場であったので、実際に日大豊山に赴いて親近感を抱いて受験に踏み切ったというご家庭が多いようです」(安田氏)

 また、これらの中堅校の人気が高まってきたのは、中学受験人口が増えるにともない偏差値50以下の受験生が増えてきたことが理由だという。

「従来、こうした子たちの親御さんは、小学校低学年から塾に通わせたり習い事をしていても、高学年に上がる頃には辞めさせたりするご家庭が多かったのですが、現在は小学6年生まで続けさせてあげるケースが増えてきました。これはつまり、子どもがやりたい習い事をさせつつ、受験はあまり無理する必要のない中堅校にするという両立を目指す親御さんが増えてきたことでもあるのでしょう」(安田氏)

 最後に、安田氏は受験生の保護者に向けてこうアドバイスする。

「これからの時期、親御さんは心配で不安に思うかもしれませんが、なるべくポジティブに過ごしてほしいです。12歳という年齢はメンタル的にも不安定な部分が多いため、前向きに受験に臨むことができるかによって受験の結果はもちろん、人格形成にも影響が出てくるからです。

 また偏差値に幅を持って学校選びをしましょう。安全校は思い切って偏差値を10ほど落としてもいいですから、確実に合格できる学校を確保することが重要です。

 あと最後に確認すべきなのは自宅のネット環境。現在、出願・入学手続きはウェブの場合が多いので、トラブルがあってスムーズに手続きできないなんてこともあり得ます。ですからご家庭のWi-Fiに不具合が生じないように注意していただきたいですね」(安田氏)

 本年度の中学受験は傾向や動向が昨年度から引き続く部分はあるが、同時に大きく変化する要因もあるようだ。保護者の方々にはコロナ感染に十分注意を払いつつ、受験生には志望校合格に向けラストスパートをかけ、後悔のない受験にしてもらいたい。

(取材・文=文月/A4studio)

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

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