ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 囲碁“10歳プロ”仲邑菫初段の伝説
NEW

囲碁“10歳プロ”仲邑菫初段の伝説…家にテレビなし、韓国語ペラペラ、東大合格並み

写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,
囲碁“10歳プロ”仲邑菫初段の伝説…家にテレビなし、韓国語ペラペラ、東大合格並みの画像1仲邑菫初段

 史上最年少の10歳0カ月で4月1日にプロ棋士となり、囲碁界が期待する小学校5年生の仲邑菫(なかむら・すみれ)初段が4月22日、日本棋院関西総本部で「第29期竜星戦」の予選でデビュー戦に臨んだが、ほろ苦い結果となった。

 対戦相手は同じく今春プロ入りした広島県出身の高校生、大森らん初段(16)。 100人を超える報道陣とずらりと並ぶテレビカメラに仲邑初段はさすがに緊張した様子。しかし立会人の後藤俊午九段(日本棋院常務理事)の携帯電話が鳴って同九段が慌てているのを見て、くすっと可愛らしい笑顔を見せた。ちなみに後藤氏は「電話がかかってきたのではなく、タイマーを開始時間に合わせていたが消音に設定するやり方を失敗した」と釈明している。

「ニギリ」(相手が無造作に掴んだ碁石の奇数、偶数を当てる。当てたほうが先手)で黒番(先手)を得ていた仲邑初段は午後2時半、激しいシャッター音のなか、初手を(上座の大森初段から見て)右上の「星」に置いた。大森初段が打つと間髪を入れずに次々と石を置いていく。「攻め」の囲碁は序盤こそ優勢に運んでいたが、大森初段はこれを冷静に凌いで勝負所で反撃に出た中盤からは、AIの予測でも仲邑初段が勝つ確率が1割に満たなくなっていた。時間を使い果たして秒読みに追われる仲邑初段は、あまり表情を変えずに粘っていたが、最後は怒ったように自分の時計のボタンを「バン」と押して中断し、白174手で中押しの投了となった。

 囲碁も「中押し」と呼ばれ、陣地を数えなくてよいほど大きく負けた場合、将棋のように「負けました」と頭を下げるのが一般的だが、気の強さが出たようだ。周囲も認める「負けず嫌い」。アマ碁の指導者でもある母幸さん(38)が「気が強すぎて、性格が悪いと言ってもいいくらい」とちょっぴり心配する。

 大森初段と並んで会見に臨んだ仲邑初段は、「悔しかった」「緊張してあまりうまく打てなかった」などと語った。「負けると悔しがって激しく泣いたりする」(幸さん)というのは、幼い頃の井山裕太四冠や、将棋の藤井聡太七段と共通するが、この日は、あまりに大勢の報道陣に泣くことも忘れてしまったようだ。控室でネット中継を見守った師匠でもある父の仲邑信也九段(46)が「かなり緊張している」と心配していたとおりだったようだ。

囲碁“10歳プロ”仲邑菫初段の伝説…家にテレビなし、韓国語ペラペラ、東大合格並みのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!