10月3日に始まった臨時国会でも、いまだ旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題が尾を引いている。特に注視されているのが、山際大志郎・経済再生担当大臣だ。
7月の参議院選挙中に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件以降、旧統一教会と政治家の関係が明るみに出て、特に自民党議員とのつながりが政局化した。そこで岸田文雄首相は、参院選後の内閣改造では旧統一教会と関係がある議員は入閣させない方針を示したが、山際大臣は留任後に“後出し”で関わりを認めて非難を呼んだ。
また、その後も山際大臣は旧統一教会との関係をたびたび指摘され、その都度、記者会見で回りくどい言い方で認めるといった対応を繰り返している。
「さらに、大臣は否定していますが、事務所の私設秘書が教団とのパイプ役になっている疑惑が報じられるなど、他の自民党議員と比べても一段と深い関係があるとみられています。そんな中、10月2日に放送されたNHKスペシャル『安倍元首相銃撃事件と旧統一教会 ~深層と波紋を追う』でも、韓鶴子総裁が出席している2018年のイベント会場で笑う山際大臣の写真が放送され、翌3日になって、総裁と会っていたことを認めました。すでにイベント出席に関しては認めていましたが、またもや後追いで総裁との接点を認めたことになり、さすがに苦しすぎる状況です。当然、更迭を要求する野党は攻勢を強めており、それに伴い、岸田首相の任命責任も追及する構えです」(週刊誌記者)
2021年10月の岸田内閣発足時から経済再生担当相を務める山際大臣は、2003年に衆議院議員に初当選、これまで当選6回を数える自民党一筋の議員だ。旧統一教会問題の前までは一般的な知名度はそれほど高くなかったが、意外なところに顔を出していたという。
「想田和弘監督の映画『選挙』です。同作は、2005年10月に行われた川崎市議会議員補欠選挙に自民党の公認候補として出馬した山内和彦氏を追った、異色の選挙ドキュメンタリー。“山さん”こと山内氏は切手・コイン商を営む東大卒の40歳男性なのですが、政治経験はゼロ。想田監督の大学時代の同級生ということで、カメラを向けたようです。その直前の同年9月には“郵政解散”による総選挙で自民党が圧勝しており、時の小泉人気にも乗って、山さんは当選します。
この中で、神奈川県18区が選挙区の山際氏も街頭演説などで応援に駆り出されているのですが、面倒くさがっているというか、嫌々やっている感がありあり(笑)。めでたく当選確実が出た後、山際氏ら政界の先輩方が事務所で待つ中、山さんがなかなか現れないシーンがあったのですが、そのときもあまりにいらついていたのか、『世が世なら切腹ものですよ』と悪代官のような顔で責めていたのが印象的です。
同作の視聴者の中には『あのときの切腹って言ってた人、今こんな偉くなってたの!』『大臣の山際さんって、山さんの映画に出てた人か』といった反応もあり、当の山さんも旧統一教会問題発覚の当初、ツイッターで往時の切腹発言を蒸し返していましたね(笑)」(同)
ちなみにその山内氏は、2007年5月に任期満了により川崎市議会議員を退任。2007年には『自民党で選挙と議員をやりました』(角川SSC新書)を刊行している。2011年4月には再び川崎市議選に無所属で立候補したが落選、このときも想田監督による『選挙2』が制作されている。
「会見で旧統一教会との接点を問われる際にはしどろもどろの対応が目立つ山際大臣ですが、『選挙』の中では横柄と言わざるを得ない態度もあり、今観ると、その違いがおもしろいかもしれません。もちろん、すでに国会議員だった山際氏と、政治に関してはズブの素人の山さんですから、当時の関係性を鑑みても仕方ない面はありますが……。それにしても、右も左もわからない素人を候補に立てて、とりあえず組織の力で当選させてしまう自民党って改めてすごいな、とは思いました(笑)」(同)
辞任は時間の問題ともいわれる山際大臣の去就はどうなるのだろうか。