その理由についての分析は散々なされているので、ここでは割愛する。しかし、細川元総理の出馬準備が遅れたことなどにより、告示前に候補者の肉声が伝わらず、有権者にとって消去法で投票先を選ぶとしても、判断の材料が少ないことは否定できないだろう。
1月31日発売の「フライデー」(講談社/2月7日号)に細川候補への単独インタビュー記事が掲載されている(『安倍さんではこの国はもたない 都知事選はこれからが本番』)。インタビュアーは筆者が担当したので、今回はページの都合上、割愛した部分を中心に掲載したい。
筆者が今回、細川候補にインタビューしたのは、筆者自身は原発輸出に賛成しているからだ。日本は当面、原発を使い続けなくてはならず、原発即ゼロを訴えることで人材育成が後退する可能性がある。その時に、安全性は担保されるのか。また、将来的に世界の原発市場は200兆円市場になると見込まれており、ロシア、韓国、中国の企業が激しく主導権争いを繰り広げる中、日本は指をくわえたまま見ていていいのか。
一方、2011年の東京電力福島第一原発事故でいまだ苦しむ被災地の高齢者の窮状は解決されず、子どもを持つ母親たちの不安も解消されていない。そんな思いから1月29日午前、筆者は細川候補のインタビューに臨んだ。
–選挙戦の手応えはどう感じているのか?
細川護煕元総理(以下、細川) 確かにスタートは遅れたけれども、細川コールをしていただいたり、握手に飛んできていだいたり、非常に手応えを感じている。劣勢と報じられたりもしていますが、私と小泉さんの実感は違う。小泉さんは「郵政の時よりもすごい、と。私もしばらく選挙から遠ざかっていましたが、日本新党の時もこんな感じではなかったかと思います。ただ、今の選挙はインターネットの影響力も大きい。私も小泉さんもネットのことはよくわからなかったりするので、そのあたりがどの程度、投票に影響するのか実際、疑問です。
–細川さんは、私のようなアラフォー世代で働く母親たちからは、強い支持がある。私は未婚・独身で、正直よくわからないのですが、小さな子どもを持つ母親たちの原発に対する嫌悪感は相当なものがあると聞きます。経済的にも女性が専業主婦でいられる時代は終わりました。小さな子どもを置いて働きに出るのはやはり不安で、原発問題がそれを増長させていることは否定できないのではと感じます。
細川 そうですね。現在東京には待機児童が約8,000人いますが、実際にはその3〜4倍いるともいわれている。公約では、4年間でゼロを目指しています。若いお母さんたちが就労の機会を持つのは当たり前の状況で、可能にするために待機児童の問題はスピードを上げて取り組まなくてはいけない。行政だけではなく、民間企業の助けも借りなくてはいけない。今、有資格の保育士さんたちで在宅の方々が結構いるので、彼女たちに就労の機会を持ってもらえるように行政でサポートしなくてはと思います。
●原発ゼロは雇用を創出する
–若年層の雇用も問題になっています。