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万引き、困難さ増す店側の対応と経済的喪失~防犯強化・訴訟回避・顧客満足をどう両立?

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万引き窃盗)に対する意識の変化

 万引き(窃盗)は刑法235条の「窃盗罪」となり、10年以下の懲役になります。刑法ですので、本来は逮捕・起訴されることになりますが、一般的には多くの小売店で行われているように、万引き(窃盗)犯の家族・親族による代金弁済と念書作成等によって被害届を提出しないという慣習(判断)が行われています。

 これは小売店の従業員も万引き(窃盗)犯も同じ地域で生活している可能性が高く、過去に金銭的解決が一般的だったということが影響しているものと思います。

 しかし「現行犯」として取り押さえた場合は、早急に捜査機関に引き渡さなければならず、また本人の同意がなければ身体検査や鞄の中身をチェックすることはできません。万引き(窃盗)犯の同意の下で身体検査等を行わなければ、逮捕・監禁罪として小売店の対応が罪になる可能性があることも認識しておかなければなりません。

 加えて、現行犯逮捕を行う際に、万引き(窃盗)犯がなんらかの危害を加えてくることも考えられますので、店舗スタッフの対応方法については、事前に「現行犯逮捕をしない」ということも含めて、訓練をしておいたほうがよいと思われます。

 ちなみに、万引き(窃盗)による金銭的損害は、一般的に損害保険では補償されていません。盗難(金品を盗まれる)には補償が付いていますが、万引きは免責とされています。なお、万引き(窃盗)被害に対する補償は、万引き(窃盗)を行った本人に請求しなければならないのですが、従業員に万引き(窃盗)のすべてを取り押さえることを求めることは難しく、万引きGメンを配置するにもコストや人材の面から困難が予想され、さらに民事訴訟を行うとなれば、費用・期間や商圏への風評などさらにハードルが高くなるでしょう。

●「万引きくらいいいじゃないか」が、のちの万引き(窃盗)自慢の炎上を生む

 少し前ですが、万引き経験をテレビで話して、その後のテレビ出演が難しくなった方がいました。今でも時折Twitterなどで犯罪を告白して炎上する方々もいらっしゃいます。

 Twitterやmixi、LINEなどのSNSで犯罪を告白して通報されたり逮捕される方がいらっしゃいますが、告白する側からすると、犯罪の告白がほぼ一生消えないということであり、小売業のリスクとしては万引き(窃盗)しやすい店舗として、情報が瞬時に共有される恐れがあるということでもあります。

 したがって、来店客に気持ち良く買い物をしてもらうことと、万引き(窃盗)被害に遭わない体制をつくることをいかに両立させるかについては、今後継続して業界が検討するべき重要なテーマになりそうです。

 重要なことは、過去の対応事例や店長以下店舗スタッフに対応を委ねるのではなく「NPO全国万引犯罪防止機構」や地域警察と連携した、対応体制の構築および対応マニュアルの整備、スタッフ教育といったものになると考えます。

●万引き(窃盗)は、現行犯逮捕が原則?

 今でも、多くの方が「万引きは現行犯でなければ逮捕できない」と思われているかもしれません。これは万引き(窃盗)を捕まえる方(一般的に「万引きGメン」と呼ばれる方)が民間人であり、刑事訴訟法213条に従い、私人は現行犯逮捕しかできないところからきているようです。

 実際には、ニュースなどで流れる宝石強盗などと同じように、犯行の瞬間から店舗を出るところまでの監視カメラ映像が存在し、店舗が被害届を提出すれば立件されることになります。

BusinessJournal編集部

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