そのような中、当初は各党議員と政治家以外のパネリスト数人が討論するという構成であった討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系/11月29日放送)が、放送日直前に議員のみの出演に変更されていたことが明らかとなった。出演予定者だった評論家の荻上チキ氏のTwitterによれば、放送日2日前の27日に番組スタッフから電話があり、「ゲストの質問によっては中立・公平性を担保できなくなるかもしれない」との理由で議員のみの出演に変えると伝えられたという。
「番組スタッフに『誰かが何か言ってきたりしたんですか?』と確認しましたが、あくまで局の方針と番組制作側の方針が一致しなかったため、とのことでした。番組スタッフも戸惑っていた模様です」(荻上氏のTwitterより)
●要望書は、言論の自由を脅かす行為か?
自民党の要望がテレビ局の番組制作に影響を与えている様子がうかがえるが、AVANCE LEGAL GROUP LPC 執行役員の山岸純弁護士は、マスコミの反応を次のように批判する。
「自民党が『要望書』と題する文書をテレビ局に回付したことについて騒ぎ立てるマスコミのほうに疑問を持たざるを得ません。なぜなら放送業を営む事業者を規律する放送法には、『(放送事業者は)公安及び善良な風俗を害しないこと』『政治的に公平であること』『報道は事実をまげないですること』『意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること』が明記されており(法3条)、今回自民党が回付した文書には『この法律どおりに行ってください』と書いてあるだけだからです。自分たちの重大な権利が侵害されたかのごときテレビ局側の対応が散見されます。さらには、『言論の自由を脅かす行為である』と騒ぎ立てる識者もいますが、法律をしっかりと確認すれば、自らの論争の方向性が誤っていることに気づくことでしょう」