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そのような現実と社会保障制度との間のギャップがジワジワと広がり、もはや「国民年金があればひとまず安心」とは言えない状況になっているのだ。
「国民年金は農家などの自営業世帯、つまり元気なうちは続けられる商売をしていて、住む家があり、子どもが後を継いで同居するということを前提につくられています。しかし、家がなく、非正規雇用者や自営業でも後継ぎがいない人が増えると、老後に国民年金だけで生活することはそもそも不可能です」(同)
「国民年金にも生活保護にも頼れない」現実
氷河期世代に限らず、「親は健在・結婚の予定なし・低所得だけど苦しいというほどではない」という感じで過ごせている人も多いだろう。しかし、この先自分が働けなくなったり、親の介護をしなくてはならなくなったりするなど、さまざまな理由で「突然、金がない」という事態に直面するかもしれない。そのとき、「国民年金にも生活保護にも頼れない」という現実が待っているのだ。
「古い家族観に則った制度には限界があります。今後はすべての人に必要最低限の収入を無条件に支給する『ベーシック・インカム』や、所得が増えると社会保障の給付が減る『ネガティブ・インカム・タックス』といったものが必要になってくるでしょう」(同)
家族のあり方も仕事のあり方も画一的でなくなった今、より包括的な保障が求められている。日本の財政が不安視されるなか、「年金か、生活保護か」という2択を迫る仕組みそのものが破綻寸前なのかもしれない。
(文=松嶋千春/清談社)
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