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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

突然のがん宣告、間違いだらけの初動対応…病院選びやお金、その後の人生を大きく左右

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

がんは情報戦! 信頼のおけるがん情報を入手する

 ただ情報といっても、いきなりインターネットに飛びつくのは要注意。手軽にさまざまな情報を収集できる反面、その内容は玉石混淆。エビデンスのある正確な情報ばかりとは限らない。

 まずは、国立がん研究センターのウェブサイト「がん情報サービス」を中心に信頼性の高い情報を入手することをお勧めしたい。ここでは、全国のがん診療連携拠点病院ごとに、かなり詳細なデータが登録されており、条件を入力すれば、病院別の比較をすることもできる。

 また、あまり知られていないが、自治体ごとのがん対策のチェックや療養情報冊子をダウンロードもできるので、自分が住んでいる地域以外に、勤務先に近い病院等を検討している人などは便利だ。
 
 それから忘れてはならないのが、あなたの情報を持つキーパーソンは主治医であるということ。何か気になる情報があれば、主治医に「自分にこの治療法はどうか?」と聞いてみよう。そのためには、主治医との信頼関係を築くことも重要なポイントであると言える。

治療法選びに「セカンドオピニオン」を活用する

突然のがん宣告、間違いだらけの初動対応…病院選びやお金、その後の人生を大きく左右の画像2出所:「セカンドオピニオンに関する意識調査」ティーペック株式会社

 病院選びや治療法選びをする上で、「セカンドオピニオン」(以下、SO)も検討しておきたい。主治医の意見を聞きつつ他の医師からも意見を聞くのは患者の持つ当然の権利であり、診断が難しいがんや複数の治療法を提示された場合は、受けておくべきだろう。

 健康相談・医療関連サービスのティーペックが行った「セカンドオピニオンに関する意識調査」(15年4月)によると、SOの認知度は92%と非常に高い一方(図表2参照)、病院によるSO外来を知らない人が7割近く(68.2%)もいるという。さらに、生命保険や損害保険の付帯サービスでSOが利用できることに対する認知度も約2割(19.8%)にとどまる。

 自分が加入している民間保険に、SOが無料で受けられる付帯サービスがついているかどうかも確認しておこう。

がんにかかるお金の目安は100万円

突然のがん宣告、間違いだらけの初動対応…病院選びやお金、その後の人生を大きく左右の画像3【図表3】がん治療にかかった費用:調査会社によりインターネットで一般公募した「過去3年以内にガンに罹患した方」を対象として、13年5月に実施した「ガン患者の悩みや負担に関する実態調査(アンケート調査)」のご本人133名による回答を集計したもの。

 そして、治療も大事だが、先立つモノ=お金がなければ、治療の選り好みもできない。

 
 がんにかかる治療費の目安は100万~200万円程度といわれている(図表3参照)。がんの医療費は、どの部位のがんに罹患するか、進行度はどれくらいか、どのような治療法を受けるかによって大きく変わってくるが、とりあえずがん告知を受けたら100万円程度は、すぐに引き出せるような普通預金口座に預け替えるなどしておこう。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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