ビジネスジャーナル > マネーニュース > 首都圏、価格が下がりにくいエリア
NEW
住宅ジャーナリスト・山下和之の目

首都圏マンション、取得10年後のリセール価格が“下がりにくい”エリア…値上がり例も

文=山下和之/住宅ジャーナリスト
首都圏マンション、取得10年後のリセール価格が“下がりにくい”エリア…値上がり例もの画像1
「gettyimages」より

 マイホーム選びに当たっては、自分たちに合った住まいかどうか、交通アクセスや通勤・通学の便はどうか、生活利便施設が揃っているかなどの物件や立地条件などと同時に、将来的な資産価値も気になるところです。築30年以上が経過すると、価値は当初の半分以下に下がってしまうのがふつうですが、エリアによってそうではないところもあるので、エリアの選択が重要な意味を持ってきます。

築深マンションの単価は築浅マンションの37.8%に

 東日本不動産流通機構は、四半期に一度、首都圏中古マンションや中古一戸建ての、地域別、築年帯別の成約状況を調査しています。

 図表1は、その2019年10月~12月分の調査結果をグラフにしたものです。棒グラフが築年帯別の成約件数で、折れ線グラフが築年帯別の1平方メートル当たり単価の平均です。成約件数は、「~築5年」の“築浅”段階の物件数は少なく、築年数が長くなるほど成約件数が増えて、「~築15年」でピークに達し、それ以降は減少しますが、「築30年~」の“築深”物件が大きな固まりになっています。首都圏のマンションは築50年を過ぎたものまで千差万別ですから、築深物件が少なくないのです。

 図表の折れ線グラフは成約価格の1平方メートル単価が、築年帯別にどう変化するのかを示しています。折れ線グラフは右肩下がりになっていて、築年数が長くなるほど平方メートル単価が安くなることを示しています。「~築5年」の築浅マンションは88.6万円に対して、「築30年~」の築深物件は33.5万円ですから、築深物件は築浅物件の37.8%まで価格が下がっている計算です。

首都圏マンション、取得10年後のリセール価格が“下がりにくい”エリア…値上がり例もの画像2

東京23区なら築深物件でも築浅物件の53.4%を維持

 しかし、この築年帯別の成約価格、地域によって大きく異なります。図表2は、首都圏全体と、単価が最も高い東京23区、最も安い千葉県の成約価格が、築年帯別にどう変化するのかを示したグラフです。

 先にみたように、首都圏全体の平方メートル単価は「~築5年」が88.6万円で、「築30年~」は33.5万円で、築深は築浅の37.8%です。それに対して、東京都区部では「~築5年」の築浅物件の平方メートル単価は108.7万円に対して、「築30年~」の築深は58.1万円です。東京都区部なら築深は築浅の53.4%の価格を維持しているわけです。首都圏平均の37.8%を大きく上回っています。

 一方、千葉県は「~築5年」が55.2万円であるのに対して、「築30年~」は15.2万円です。築深物件は築浅物件の27.5%まで下がってしまうのです。東京都区部の53.4%に比べて、半分以下の水準です。

首都圏マンション、取得10年後のリセール価格が“下がりにくい”エリア…値上がり例もの画像3

東京都区部にはリセールバリュー100%以上が多い

 民間調査機関の東京カンテイでも、中古マンションのリセールバリューに関する調査を行っています。竣工から10年が経過した分譲マンションの現在の資産価値が、分譲価格の何%になっているかを調べているのです。100%なら分譲価格がそのまま維持されていることを示し、100%以上なら分譲価格より値上がりしていることを表し、100%未満なら値下がりしていることになります。

 その2018年の結果では、首都圏全体のリセールバリューの平均は91.5%でした。2008年に分譲されたマンションが対象ですが、2015年前後から中古マンション価格が急上昇したため、10年経った2018年でも平均で新築価格の9割を維持しているという結果でした。

 なかには、リセールバリューが100%以上になって、分譲価格より上昇した駅もありますが、そのリセールバリュー100%以上の駅を地図上にプロットすると、ほとんどが東京都区部に存在しているのです。

リセールバリューのベスト30の9割は東京区部に

 駅別のランキングをみると、トップは都営地下鉄新宿線の「馬喰横山駅」の155.2%でした。以下30位までみると、2位の横浜高速鉄道みなとみらい線「みなとみらい駅」、4位のJR京浜東北線「東神奈川駅」、28位のJR京浜東北線「横浜駅」を除いて、すべて東京都区部となっています。リセールバリューのベスト30のうち9割は東京都区部が占めているということです。

 反対に、リセールバリューが70%未満の、値下がりが大きい駅は、分譲価格の安い郊外部に多いのですが、なかでも千葉県にそのリセールバリューの低い駅が集中している観があります。

近畿圏では阪神間、京都エリアと大阪市が高い

 近畿圏の2018年のリセールバリューの平均は92.0%で、首都圏とほとんど変わらない水準でした。同時に、やはり首都圏同様に分譲価格の高いエリアのリセールバリューが高くなっています。

 近畿圏で分譲マンションの価格が最も高いのは西宮市、芦屋市、宝塚市、神戸市などの阪神間ですが、このエリアでリセールバリュー100%以上の駅が多くなっています。また、人気観光地として海外からの投資が増えた京都市でも、分譲価格が上がると同時に、リセールバリュー100%以上の駅が増加しています。

 大阪市ではこの10年ほど、中心部で駅前再開発などが進み、超高層マンションが急増、新築マンション価格の上昇が目立っています。再開発にともなって生活利便施設も充実し始めたため、梅田、本町といったビジネスエリアで、リセールバリュー100%以上の駅が増加しています。

高い物件を買える人ほど資産が豊かになる構図

 つまり、当初の分譲価格が高いエリアでは、築浅段階では分譲価格並みの資産価値を維持しており、その後の資産価値低下リスクが、分譲価格の安いエリアより小さくなるということです。

 比較的年収が高い人たち、富裕層の人たちが手に入れることができる分譲価格の高い物件ほど、将来的な資産価値が高く、平均的な会社員などが頑張って手に入れることができる比較的リーズナブルな物件は、将来的な資産価値はさほど高くないという残念な結果ともいえます。

 このままでは、資産格差がますます大きくなってしまいますから、会社員でも共働きなどによって将来的な資産価値の高いエリアでマンションを取得して、資産を増やしていくことを考えたいところです。

資産価値重視なら一戸建て購入という選択肢もある

 とはいえ、なかなか東京都区部などの高額マンションには手が出ないという人もいるでしょう。そんな人は、資産価値重視という視点から、一戸建てに目を向けるという手もあります。一戸建てなら、当初の分譲価格が比較的安く、かつ築年数を経てもマンションほどに資産価値が下がらないのです。

 図表3は、首都圏の中古マンションと中古一戸建ての築年帯別の成約価格の変化を折れ線グラフにしたものです。中古一戸建てなら、「~築5年」の築浅でも、マンションに比べて1000万円以上安い上、建築後の経過年数による資産価値の低下カーブが、マンションに比べてかなりゆるくなっています。「~築25年」では、一戸建ての資産価値がマンションより若干ですが高くなるほどです。一戸建ては土地がついている分だけ、土地値で歩留りがかかって、資産価値が下がりにくいということでしょう。

首都圏マンション、取得10年後のリセール価格が“下がりにくい”エリア…値上がり例もの画像4

永住が前提であれば資産価値の上下を気にする必要はない

 ただ、以上はあくまでも将来的な売却などを念頭においた資産価値の違いに過ぎません。いうまでもありませんが、資産価値が上がろうが、下がろうが、住み続けている分には関係ありません。

 いずれはより広い家に、利便性の高い住まいに買い換えたいといった希望を持っている人なら、よりリセールバリューの高いエリアで買っておくのが安心です。また、将来的に独立して事業を起こしたいという人も、より資産価値の高いエリアに持家があるほうが、資金調達などの面で何かと有利になるかもしれません。

ライフスタイル、ライフステージに合った住まい選びを

 そうではなく、取得した住まいに永住する、独立などの希望もないといった人であれば、資産価値は置いておいて、住み心地などを何よりも最優先に選択するべきでしょう。将来的な資産価値が高いからといって、子育て世帯が都心の駅前にマンション買ったりすると、利便性は高いにしても、子育て、教育などの面では好ましくない面があるかもしれません。それよりは、郊外型のゆったりとしたマンションで、環境にも恵まれた住まいのほうがいいのではないでしょうか。

 何を重視するのか、シッカリと整理した上でライフステージ、ライフスタイルに合ったエリア選び、物件選びを行っていただきたいところです。

(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

山下和之/住宅ジャーナリスト

山下和之/住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。日刊ゲンダイ編集で、山下が執筆した講談社ムック『はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド』が2021年5月11日に発売された。


はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド2021~22


住宅に関心のある人のための最新ニュース、動向分析

Twitter:@WjdXMjSP26kPXN3

首都圏マンション、取得10年後のリセール価格が“下がりにくい”エリア…値上がり例ものページです。ビジネスジャーナルは、マネー、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!