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月5720円ずつ1年間…新手のカード架空請求の被害に遭遇!どこまで返金可能?

文=後藤豊/フリーライター
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「gettyimages」より

 うちは共働きの夫婦2人の世帯なので、子どもにかかるお金がない。そのため普段から、あまり経済状況を気にすることなく買いたいものを買ってきた。そんな最中に新型コロナウイルス騒動で収入が半減したことで意識が変わり、最近は支出を減らすよう努めている。

 たとえば、食料の買い出しだ。近所のスーパーではなく、ちょっと遠いが業務用スーパーで買いだめをしてみた。たとえばペットボトルの水は、近所が90円なのに業務用は52円だったりする。通常なら3000円かかるところが2500円と、かなりお得になることがわかった。

 そんな意識の変化もあり、いつもなら見ないクレジットカード請求書を目にしたところ……。妻が唐突に「ねぇ、これ何? またなんか買ったの?」と聞いてきた。請求書に記されていたのは「FIN4PT.COM」という海外企業からの請求で、金額は5720円。

 こんなもの、まるで覚えがない。そこで、過去1年ほどさかのぼって請求書を見てみると、1年間、毎月のように同様の請求がされていた。「TDMPAY.COM」「BILLCRS.COM」などと、複数の請求先から毎月5720円が引かれており、1年間の損失合計額は6万8640円。思わず、私はカード会社に連絡を入れた。

「わかりました。先方に内容の開示要求をしておきます。カード保険を適用するなら、過去120日分のみお戻しできます。その際は今のカードを止めていただき、新規にカードをつくり直す必要があります」

 そう言われて、私は即座にカードの再発行をお願いした。新規のカードは2日後に届き、再発行の手数料として1100円かかったが、まぁ仕方ない。

 それから20日後。送られてきた翌月の明細には、前述のFIN4PT.COMなど3カ所から12月・1月・2月の3回分のマイナス請求、つまり返金がされていた(写真参照)。5720円×3カ月で1万7160円が戻ってきたわけだ。

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3月分の請求書に記されていたマイナス請求。意味不明の返金だ……

 カード会社から連絡があり、「3回分戻ってきましたが、メールか何かで連絡をされましたか?」と聞かれた私は、「いえ、こちらからは何もしていません」と答えた。

「一晩で2万円を4回にわたり使っています」

 3カ月分が戻ってきたものの、9カ月分の5万1480円は損をしたままだ。再びカード会社に問い合わせたが、それ以前の返金は保険概要の「120日」を超えるため、できないと言われた。

 請求明細を見ずに放っておいたこちらにも責任があると考え、今回の件は「授業料」とすることにしたが、それはさておき、この請求はどのような経緯でなされたのだろうか。

 私はネット上で複数の決済にカード利用している。そのうちのどこかでカード番号がFIN4PT.COMなどに漏れていたと思われる。元締めが複数の請求先を使っている気がする。

 半年ほど前、妻が使用する別のカード会社から緊急の通知が来た。そこには「一晩で2万円を4回にわたり使っています。どうもゲーム使用のようで、後藤さんのこれまでの使用履歴とは大きく異なります。カードをスキミングされた可能性があります」と記されていた。

 すぐにカード会社に電話したところ、「支払い義務はありませんのでご安心ください」との返事があった。妻も私も高くて2000~3000円の買い物しかしないし、ゲームなどやったことがない。普段とはかけ離れた金額使用で、しかも普段とは異なる内容の場合、自動で判別して異変を察知してくれるシステムのようだ。

 妻のケースとは異なり、私の場合、ありそうな額面が海外の請求先から請求されていた。自動判別の網をかいくぐったのかもしれない。

“手頃な金額”は新手の架空請求の手口?

 ここからは推測だが、請求相手は月々5720円という「手頃で自動判別されにくい金額」を請求することで「気づかれにくい詐欺」を働いたのではないだろうか。そして、相手が開示請求をしたら返金に応じ、しなければ儲けもの、というスタンスだったような気がする。だからこそ、開示請求をした途端に「保険適用分の3カ月分返金」という対応をとったのではないだろうか。

 この件を友人の会社経営者に話したところ、「俺も半年前、会社名義で月1万円ずつを5年ほど取られていたことに気づいたよ。会社のシステム変更をしたのに、その変更届をうっかり出し忘れていて、60万円も損したよ」と言っていた。これは、私とは異なる「うっかりミス」である。

 今はネット通販全盛の時代であり、多くの人がオンラインで買い物をしている。しかし、請求書の確認をしないと「連絡し忘れたことによる余計な出費」を見過ごすことがある。加えて、私のように使用したカード番号がいつどこで漏れるかわからず、請求書を確認しないために損をし続ける可能性がある、ということを頭に入れておくべきだろう。

 今回のような新手の架空請求の被害に遭わないよう、カード利用者は毎月忘れずに請求書に目を通すことをおすすめしたい。

(文=後藤豊/フリーライター)

※同様の手口で被害に遭った方は、筆者にご連絡ください。
メールアドレス:oga4337@yahoo.co.jp

後藤豊/ライター兼タクシードライバー

後藤豊/ライター兼タクシードライバー

1966年千葉県生まれ。東京都内の中小会社でタクシードライバーを兼務するライター。競馬と野球をメインに、雑誌や書籍で執筆をしている。主な著書に『テイエムオペラオー伝説』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(ともに星海社、共著)などがある。

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