3番目は受け取る時です。年金として受け取る場合には税金がかかりますが、その場合でも公的年金等控除というのが適用されるため、税額は少なくなりますし、もしまとめて一度に受け取れば退職所得控除が適用されるため、相当まとまった金額になっても非課税となります。退職所得控除という名前がついていても、会社員だけが対象ではなく、自営業や専業主婦でもこの控除は使えます。
さらに投資信託で運用する場合の手数料が安いのも大きな魅力です。通常、銀行や証券会社の店頭で投信を買うと、購入手数料が数%かかることが多いのですが、確定拠出年金で投信を買うと、この購入手数料はありません。また、保有している期間は継続して発生する信託報酬といわれる手数料も、金融機関の窓口で購入するものと比べると大幅に安く、なかには2分の1ぐらいになっているものも少なくありません。老後資産形成のように運用期間が長いと、その間に負担する手数料の額はとても大きな差になって出てきます。
誰でもこの有利な制度を利用できる!
この最強の制度である確定拠出年金も、今までは自営業や無職などのいわゆる1号被保険者に該当する人たち、そして民間企業の会社員のなかで企業年金のない会社に勤める人たちしか利用することはできませんでした。ところが、今年の5月に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」が成立したことにより、2017年1月からはごく一部の例外を除いて誰でもこの制度に加入することができるようになりました。老後資産形成のための最も強力な手段がこの個人型確定拠出年金ですから、利用しない手はないと思います。
ただ、ひとつ気をつけるべきことは、どこの金融機関を利用するかを慎重に検討することです。金融機関によってサービスや価格の差が大きいですし、確定拠出年金では金融機関を一度決めたらなかなか変更することが難しいからです。口座管理手数料や商品の品ぞろえ、そして商品毎の運用管理手数料等、各金融機関の提供するサービス内容とその価格をしっかりと見極める必要があります。
NPO法人・確定拠出年金教育協会が運営するサイトでは、個人型確定拠出年金の仕組みがよくわかり、各金融機関の手数料や商品内容を一覧にしたものがありますので、参考にすることができます。また、法案改正を機に確定拠出年金関連の書籍も出てきていますが、筆者も6月10日に『はじめての確定拠出年金投資』(東洋経済新報社)を刊行しましたので、関心があればご覧ください。
(文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表)