消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
(2)認知症になった場合でも財産の管理、処分ができる
認知症になると、成年後見人が付いていても、成年後見人の役割は被後見人の財産の保全なので、財産の処分は家庭裁判所の許可を得なければならず、簡単にはできません。
しかし個人信託であれば、委託者が認知症になっても、受託者は財産の管理、運営、処分をすることができます。つまり、委託者が認知症になり、判断能力を失っても裁判所の許可なく、信託目的に従って財産の処分ができます。
(3)相続した不動産が共有になることを防げる
筆者は調停委員として共有物分割調停事件をよく扱いますが、相続財産が共有になってしまうと、特に不動産の場合、分け方についてなかなか親族間で話がまとまりません。そうすると調停になり、調停でも決まらなければ裁判になり、解決までには時間とお金がかかります。亡くなった方は、争いの種を残さないようにしたいと思っていても、相続人間だけで遺産相続を解決することは難しいようです。
このような場合に個人信託を使うと、相続財産である不動産を共有にせず、不動産から得られる利益(受益権)を相続人で共有することができます。受託者は相続財産を管理、運営、処分し、相続人は受益者として利益(賃料、売却代金等)を得ることになります。
このように、“争族”を防ぐためにも信託は役に立ちます。遺言書を書こうと考えている方は、ぜひ個人信託についても検討してみてはいかがでしょうか。
(文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会)
Business news pick up
RANKING
23:30更新関連記事
2024.10.18 15:10
2024.09.24 07:10
2024.09.22 18:00
2024.09.18 06:00