まず、従来は使えなかったセール品で、買い物券が使えるようになった。洋服などのセール品で使えれば、一気にお得度はアップする。さらに、すべてのブランド品にも使えるようになった。定価販売が基本のブランド品が、実質的に割引で購入できるようになるため、ブランド品を買うような人ならこちらのお得度も高い。これは伊勢丹、三越に限らないことだが、メンバーズカードを持っていても、セール品や一部ブランド品の買い物では、メンバーズ優待の割引サービスは使えなかった。それが、「エムアイ友の会」の買い物券は、すべての商品に使えるのである。
ちなみに、伊勢丹・三越のメンバーズカードである「エムアイカード」は、年会費は有料。もしかすると、両百貨店では、「エムアイカード」をやめて「エムアイ友の会」に入る人が増えるかもしれない。
ほかに、セール品にも使える買い物券を提供する百貨店には、大丸松坂屋があるが、ブランド品は一部が除外されている。対象外となっているブランドには人気が高いものが多いので、やや魅力が減じてしまっている格好だ。
大手百貨店グループは、2012年2月期決算を見ると、震災の影響などで売り上げ高は減っているが、コスト削減効果や海外売り上げ増などで、いずれも増益を確保している。足元では、宝飾品などの高級品の売り上げも伸びているという。これまでは、守勢一方でさまざまな顧客サービスの縮小を続けていたが、収益が底を打ちつつあることで、今後はサービスの拡充に向かう可能性がある。もしかすると、その兆しが「友の会」に表れているのかもしれない。
百貨店の半期に一度の大きなセールでは、結構良質なスーツが2着2万円台で売られている。それを「友の会」の積み立てでGETした買い物券で買えば、相当賢い買い物になるだろう。
(文=松岡賢治/フィナンシャル・プランナー)